香港で開催中のゲノム編集の国際会議で28日、ゲノム編集技術で受精卵の遺伝子を改変し、HIV(エイズウイルス)にかかりにくい体質の双子を誕生させたとする中国の研究者が研究内容を説明し、意義を強調した。事前に医療施設の倫理委員会の審査を受けたかどうかは、明言しなかった。出席者からは、安全、倫理面からの批判とともに事実かどうかを含め、検証を求める声があがった。

デザイナーベビー、潜むリスク ゲノム編集の限界は
「ゲノム編集でエイズ免疫の子、誕生」中国の科学者主張

 登壇した中国・南方科技大の賀建奎副教授は「HIVの感染の広がりを防ぐために必要だ」とゲノム編集を用いる意義を強調した。

 ゲノム編集を行った対象は、HIVに感染した男性と、感染していないパートナーの女性の受精卵。女性に戻したところ妊娠し、双子の女児が生まれたと説明した。健康影響がないか今後18年間は調査する。

 研究のリスクを説明したうえで対象者の同意をもらうインフォームド・コンセントについては、カップルに文書を示して質問を受けるなどし、相手は十分に理解していたと説明した。

 質疑で、ゲノム編集した受精卵で妊娠した例が他にもあるかを問われ、もう一例あると明らかにした。

 倫理面については、米国のスタンフォード大やハーバード大の倫理の専門家と事前に協議したと説明した。一方、医療施設の倫理委員会の審査を受けたかどうかは明言しなかった。

 HIVは父親が感染者でも子どもへの感染を防ぐ方法はある。ゲノム編集は研究段階の技術で、予期しない遺伝子改変によって健康被害が起きることも懸念されている。会議に出席した国立成育医療研究センター研究所の阿久津英憲部長(生殖医学)は、説明を聞いても真偽は分からなかったとしたうえで「研究データや参加したカップルの同意書などについて第三者の確認が必要だ」と述べた。


引用元:
「ゲノム編集で子ども誕生」中国の研究者、意義を強調(アピタル)