乳がんに関する間違った説はごまんとあります。例えば「しこりがないなら乳がんではない」というのも、よく聞く説の1つ。現在33歳のローレン・マホーンさんも、2年前に乳がんの診断を受けるまでは、「胸が小さい人は乳がんにならない」という俗説を信じていたとコスモポリタン イギリス版に明かしてくれました。

「『それなりの大きさの胸がなければ乳がんになりようがない』という思い込みが頭の中にありました。そういうものだと思っていたんです。世間で言われていることをすっかりそのまま信じ込んでいました」とローレンさん。彼女は、がんをテーマとする英「BBC」Podcast(インターネットラジオ番組)『You, Me and the Big C: Putting the can in cancer(原題)』のホスト。同じくがん患者であるデボラ・ジェームズさん、レイチェル・ブランドさんと一緒に、がんという病に対する理解を深める活動を続けてきましたが、レイチェルさんは2018年9月、余命が残り少ないことをInstagramで明かし、その数日後に亡くなりました。そんな時にローレンさんが語ってくれた言葉には、より深い意義が感じられるかもしれません。

2016年の夏のある日、ローレンさんは何気なく触れた乳房にしこりがあることに気が付きました。「乳房の表面近くに、大きなしこりがあったんです」と、その時のことを振り返ります。「これはただの乳腺のう胞(乳腺内に出来る良性のしこり)だと思いました。以前に何回かできたことがあったので。そうでなければホルモン由来の何かなんだろうと。そのうち消えるだろうと思って様子を見ていましたが、無くなることはありませんでした」

ローレンさんはしこり周辺に「刺すような痛み」を感じるようにもなりましたが、「乳がんは痛みが無いんだから、乳がんじゃないよ」という周りの人たちの言葉に安心しきっていました。「そんなの単なる俗説なのにね」とローレンさん。「そのしこりには、しっかり痛みがあったんです。かなりの痛みでした」

2016年8月、乳がんと診断されたときは「大きなショック」を受けたと言います。それは、がんになってしまったということだけでなく、がんに対する理解が全然足りていなかったことへの衝撃でもあったそう。

「乳房は若いうちから自分でチェックするべきだなんて、学校もどこも教えてはくれません」とローレンさんは指摘します。「私みたいな年齢だろうと、私みたいな胸のサイズだろうと、ちゃんとチェックしなくちゃいけないだなんて、思ってもみなかったわ」

「何か見つかってしまったら怖いからという理由で、セルフチェックをしたがらない女性が多いような気がします。でもセルフチェックって、がんを探し出すために乳房を触ろうっていう話ではないんです。乳房を見て触り、普段の状態を知るということが大きな目的なんです。そうすれば、乳房に変化があったらすぐに気付くことができるし、何か手を打てるでしょ?」。そう話してくれる姿からは、ローレンさんが自身のサイト<GIRL vs CANCER>でも伝えている、がんを早期発見することの重要性と、それを広く伝えたいという強い思いが滲み出ていました。

抗がん剤など投薬による化学療法に加え、手術や放射線による治療が功を奏し、現在ローレンさんのがんは完治。けれど女性ホルモンによるがんの再発を防ぐため、年齢的には早すぎる更年期を迎えることになってしまいました。

恋愛のしかたが変わるということ

初対面の男女2人がホテルのレストランで語り合い、気が合ったらそのままホテルに宿泊するという、カップル成立を目的としたリアリティ番組『First Dates Hotel(原題)』をご存じでしょうか? 更年期まっただ中のローレンさんですが、先日この番組に出演! しかし更年期と向き合う中での番組出演には、相当な苦労を伴ったそう。

「正直、最初にやられたのはメンタルです。30代にして更年期のあらゆる症状に悩まされるなんて、すべてを奪われた気分でした」とローレンさん。「更年期のことなんて、誰も教えてくれません。私が知っていた更年期といえば、ほてりがひどくなることと、情緒が不安定になることくらい。ヴァギナが乾燥するとか関節が軋んで痛むなんて聞いたことも無かったし、生きるためのエネルギーがこんなに奪われるなんて知らなかったわ」。

「まだ30代前半だというのに、性的な能力も失った感じ。とてもつらいですよ。恋愛するとなっても簡単にベッドになんか行けません。そうなったら『ところで、潤滑剤の特大ボトルを取ってきてもいいかしら? 私まだ33歳なんだけど、ヴァギナがもう乾燥しちゃって』なんて言わなくちゃいけないんだから」

がんにかかったことと、人より早く更年期を迎えなくてはならなくなったことは、ローレンさんの恋愛に対する姿勢に大きな影響を与えました。『First Dates Hotel』に出演を決めたのはそんなことも理由の1つ。8年間シングルだった彼女がこの番組に応募したのは、乳がんと診断される1年前でしたが、出演が決定したという連絡が来たのはちょうど化学療法を受けている真っ最中だったそうです。

「出演なんかできません。じゃがいもみたいな姿でテレビに映りたくないんです」。プロデューサーから連絡が来たとき、ローレンさんはそう言いました。けれどスタッフたちは、しばらくすれば彼女が完治しそうだと知ると、すべての治療を終えたタイミングでまた出演に応募してほしいと伝えました。そしてローレンさんは勧められたとおり、改めて応募したのです。

「がんだと告げられたとき、まず口から出てきたのは“死にたくない”という言葉でした。そして次に頭に浮かんだのは、結婚もしたいし子供も欲しいということ。何年もシングルで生きてきた人はみんなそうかもしれませんが、自分にとって結婚や子供がそんなに重要なものだったとは、その時まで考えもしなかったんです」

「私にもいつか結婚したり子供を産んだり、そんな機会は訪れるだろうとずっと思っていました。いざ、その“いつか”なんて永遠にやってこないかもしれないのだという現実を目の前にすると、いきなり物事がはっきりと見えてくるものです。自分が本気で愛する人を見つけたいと思っていることが分かったから、番組に応募しようと思ったんです」

「もし、がんが数年で再発して若くしてこの世を去ることになるとしても、私は愛し愛される関係を誰かと築きたいし、家族を持ちたい。恋愛の仕方や恋愛観が大きくがらりと変化したのは確かです。以前の私は、人との関わりを少し避けるようなところがあったから」

前に進むということ

ローレンさんは今もなお、がんに対する理解を広めようと活動に取り組んでいます。冒頭で紹介したPodcast『You, Me and the Big C』を共に配信していたレイチェルさんは残念ながら亡くなってしまいましたが、ローレンさんはデボラさんとともに、レイチェルさんが始めたこの番組を続けていく決意を固めたそうです。

「そうすることが正しいような気がするの」とローレンさん。レイチェルさんが遺したものを引き継いでいけるのは「光栄なこと」だとも。「続けることは、私たちが共に番組を作っていた最期の日々の中で、彼女からはっきりと伝えられた望みでもあるし、私たちもぜひその望みを叶えたいと思ったから。彼女抜きでやるのには、違和感があるけれどね」。

「レイチェルの遺志を尊重しながら、彼女も納得してくれるだろうなと思うやり方を見つけていこうと思っています。すぐにではないかもしれないけれど、またスタジオでやるつもり。いつかこうなるといいね、って3人で夢見ていた方向へ進んで行けたらいいな」
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終わりに…

2050年には乳がんによる死者をゼロにするという目標を掲げ活動する英チャリティ団体「ブレスト・キャンサー・ナウ」のエルネッド・ヒューズさんも、乳がんと胸のサイズに関する俗説を強く否定しています。

「イギリスでは残念なことに、8人に1人の女性が人生のどこかで乳がんになると言われています。乳房の組織を持つ人なら誰でも乳がんになる可能性があり、胸のサイズと罹患のリスク度の関係性を示す証拠は何もありません。つまり胸のサイズに関係なく、女性はみな定期的に乳房のセルフチェックを行うべきであるということです。いつもと違う何かを感じたら、どんな変化でも医師に相談してください」

「今分かっているのは、乳がんの原因は1つではないということです。遺伝子やライフスタイル、生活環境などの要因が合わさって、乳がんを引き起こすと考えられています。乳がんになる確率が高くなる条件として、主なものを2つ挙げるとすれば、女性であることと、年齢を重ねているということ。少なくとも乳がんの診断を受ける患者の約80%は、50歳以上の女性です」

「さまざまな誤った情報が世の中にはあります。『制汗剤を使うと乳がんになる』『胸を強く打ったりぶつけたりすると乳がんになる』といったものから、『スーパーフードを食べると乳がん予防になる』というものまで。けれども、これらの説が真実であると示す証拠は何もありません。私たちはそうした誤った通説とは違う、確かな根拠のある情報をお伝えしたいと思います。どんな女性も、健康的な体重を維持すること、アルコール摂取量を制限すること、定期的に運動をすることで、乳がんに罹るリスクを低くすることができますよ」

根拠のないでたらめな説には振り回されたくないですね。生活を見直しながら、まずは乳がんのセルフチェックを習慣にしてみましょう。

※この翻訳は、抄訳です。

Translation:中尾眞樹(Office Miyazaki Inc.)



引用元:
乳がんについて正しい知識を!経験した私が伝えたいこと 「がんは痛みがない」という思い込みは危険!(コスモポリタン)