妊娠中の女性が病院を外来受診した際、今春から請求されるようになった「妊婦加算」を巡り、「なぜ負担が増えるのか」「少子化対策に逆行」などと疑問の声が群馬県内でも上がっている。妊娠と直接関係のない診療科でも負担する仕組みの上、国や医療機関の説明が不十分なことも一因とみられる。厚生労働省は「妊婦の診療には薬の処方などで特別な配慮が必要」と理解を求めるが、相次ぐ異論に今月から自治体を通じて制度の周知に力を入れ始めた。



◎「しっかり診てもらえる」「金額は少ない」好意的意見も

 前橋市内の産婦人科。出産を間近に控えた女性(27)=同市=は「なぜ妊婦自身が追加の料金を負担するのか分からない」と不満をのぞかせた。生後5カ月の子どもを連れて訪れていた荻野望さん(23)=同市=は「診療時に医師が妊婦に配慮するのは当たり前だと思っていた。料金を加算しないといけないことなのか」と首をかしげる。

 妊婦加算は4月の診療報酬改定で新設された。初診で750円、再診で380円が上乗せで医療機関に入る。妊婦側の支払いは自己負担3割だと初診で約230円、再診で約110円増える。深夜や休日、診療時間外はさらに増額される。ただ、通常の妊婦健診は対象外だ。

 厚労省は妊婦加算導入の理由を「妊娠中の外来患者に対しては、合併症や感染症への対応や適切な薬の選択など、母体や胎児に配慮した診療が求められるため」と説明。医療機関への報酬を手厚くすることで、妊婦の医療支援体制の充実につなげたいと強調する。

 実際、好意的に受け止める人もいる。出産を控えた佐藤はるなさん(28)=東吾妻町=は「お金を払っても、しっかり診てもらえる方が安心」とし、妊娠5カ月の小池沙紀さん(27)=前橋市=は「金額は少ないし、特別に配慮してもらっているのだから仕方ない」と話した。

 伊勢崎市の長沼内科クリニックの長沼誠一院長(67)は、妊婦加算の趣旨は理解できるとした上で、「特別な配慮が必要な診療かどうかには差があるのに、一律で加算することには矛盾がある」と指摘。一方で保険診療点数の仕組みは複雑で、分かりやすく周知する難しさも打ち明けた。

 厚労省は今月2日、全国の自治体を通じて加算の額や趣旨を記したリーフレットの配布を始め、制度の周知を図っている。

引用元:
今春からの外来受診 妊婦加算に異論相次ぐ 国は周知に注力(上毛新聞ニュース)