頬が赤くなることからリンゴ病とも呼ばれる「伝染性紅斑」の患者報告数が33都府県で増加したことが20日、国立感染症研究所の患者報告で分かった。警報基準値の2倍超を記録した宮城県は、「患者報告数が過去の傾向とは異なる動向」を示していると指摘。妊婦が感染した場合、胎児の異常(胎児水腫)や流産を引き起こす恐れがあることを挙げ、注意を呼び掛けている。【新井哉】


 同研究所によると、5日から11日までの週の定点医療機関当たりの患者報告数は、前週比約45%増の0.64人で、2015年から16年にかけての流行以降で最も多い報告数となっている。

 都道府県別では、宮城が4.95人で最も多く、以下は新潟(1.7人)、東京(1.54人)、神奈川(1.41人)、岩手(1.05人)、埼玉(1.02人)、千葉(0.87人)、栃木(0.79人)、青森(0.74人)、山形と山梨(共に0.67人)などの順だった。

 東北や関東では、保健所管内の患者報告数が警報基準値(2.0人)を上回るケースが目立ってきた。県内全体の報告数が4週連続で警報基準値を上回った宮城県は、咳が出る時はマスクを着用するといった咳エチケットを心掛けるよう求めている。

 東京都内でも感染が拡大しており、八王子市(4.55人)、多摩小平(3.13人)、江東区(2.67人)、文京と台東(共に2.5人)、多摩府中(2.19人)の保健所管内で警報基準値を上回っている。

 伝染性紅斑の原因はヒトパルボウイルスB19感染で、感染した人の唾液、たん、鼻の粘液などに触れ、それが自分の口や鼻の粘膜に付いたり、咳の飛沫を吸い込んだりして感染する。10―20日ほどの潜伏期間の後に頬に赤い発疹が現れ、手や足にも網目状の発疹が現れる。小児が感染してもほとんどが重症化せずに軽快する。

 成人では、頬の赤い発疹などの特徴的な症状が出ることは少ないが、強い関節痛のために歩けなくなることもある。妊婦が感染すると、本人には全く症状がなくても胎盤を介して胎児に感染し、流産や死産となる可能性がある。


引用元:
リンゴ病の流行拡大、33都府県で患者増 宮城で警報値の2倍超、「過去の傾向と異なる」 (医療介護CBニュース)