生後間もない赤ちゃんの耳の聞こえを調べる「新生児聴覚スクリーニング検査」について、九州7県の233市町村のうち、検査費用を公費負担しているのは約44%に当たる102市町村にとどまることが西日本新聞の取材で分かった。長崎、大分、鹿児島3県が全自治体で実施する一方、福岡県は2市、佐賀県は1市1町のみ。国は積極的な公費負担を求めているが、自治体間の格差が際立つ。

 新生児聴覚スクリーニング検査は、新生児千人当たり1、2人とされる難聴を早期に発見し、適切な支援につなげることが目的。産科病院や診療所の分娩(ぶんべん)施設が、おおむね生後3日以内の赤ちゃんに実施する。

 一般的に、自動ABR(自動聴性脳幹反応)かOAE(耳音響放射)と呼ばれる検査のどちらかを採用。検査費は各施設で異なり、福岡県によると自動ABRは5千円程度、OAEは2500円〜3千円程度が相場という。健康保険が適用されず、公費負担がない場合は全額自己負担となる。

 全自治体で実施する長崎、大分、鹿児島3県を除くと、公費負担しているのは宮崎26市町村のうち10市町村▽熊本45市町村のうち6市町村▽福岡60市町村のうち2市▽佐賀20市町のうち2市町−だった。負担額は各自治体で異なる。
検査をしない分娩施設も

 検査は任意で、検査をしない分娩施設も一部ある。厚生労働省の調査によると全国1118市区町村の検査実施率は出生児の82・8%(2016年度)。ある自治体職員は「施設によって保護者に対する検査の重要性の説明にばらつきがあり、『自費なら受けない』と断る人もいる」と話す。

 大分県は本年度から全市町村一斉に公費負担を開始した。早期発見できれば補聴器や人工内耳を使って聴覚を補い、手話や文字などの視覚的手段も併用して、聞く、話すも含めて言葉の発達を促すことができる。大分県は「公費負担によって検査を確実に受けてもらい、早期療育の流れから漏れる子どもが出ないようにしたい」としている。

 福岡県内で公費負担を行うのは、北九州市とうきは市のみ。県や県医師会などは2月、新生児難聴の早期発見に向けた検討会議を発足させた。同会議会長で、九州大医学部耳鼻咽喉科の中川尚志教授は「どこの施設で生まれても公的補助を受けられるような全県的な体制の構築を検討したい」と話している。

引用元:
難聴検査に公費44% 新生児対象、自治体格差(西日本新聞)