■月経のたびに、激しい痛み

 近年、20代後半から40代の女性に子宮内膜症が増えている。

 「子宮内膜症は、本来は子宮の中を覆う子宮内膜が、卵巣、子宮と直腸のくぼみなど子宮以外のところで増殖し、性周期とともに出血を繰り返す病気です。子宮にある子宮内膜は月経のときに血液と一緒に排出されます。しかし、子宮以外にできた子宮内膜は排出されないため、炎症を繰り返し月経のたびに激しい痛みを生じるようになります」

 と解説するのは、相模野病院婦人科腫瘍センター長の上坊敏子医師。主な症状は、激しい月経痛。下腹部痛や性交痛が出る人もいる。治療は、閉経状態にしてしまう偽閉経療法など薬物治療が中心だ。

 「子宮内膜症の人は不妊症にもなりやすいですし、月経痛がひどいと仕事にも支障が出やすいので、放置しないようにしましょう」

 卵巣にできる子宮内膜症である「チョコレートのう胞」はがん化することがある。ほかの場所に発生する子宮内膜症はどうだろうか。

 「卵巣以外の子宮内膜症ががん化することは大変珍しいです。チョコレートのう胞は、10cm以上、45歳以上でがん化のリスクが高まります。超音波の所見なども加味して、手術を検討します」

 一方、子宮筋腫は、子宮の中の筋層と呼ばれる部分などにできる硬い良性の腫瘍。小さいものも含めると、女性の3人に1人は子宮筋腫があるとされる。主な症状は月経痛と月経過多で、不正出血があったり、腰痛、頻尿になったりする人も。また、妊娠しにくくなる弊害もある。偽閉経療法で治療する方法もあるが、手術が最も効果的だという。月経のときに血のかたまりが出るなど、チェックリストのような症状があったら、子宮の病気かもしれない。婦人科を受診しよう。

▼こんなときは、婦人科を受診しよう
・月経のときに血のかたまりが出る
・月経量が多く、夜用ナプキンをしていてもシーツを汚すことがある
・月経痛がひどく必ず鎮痛薬を使う
・貧血と言われた
・月経のとき以外にも腹部に痛みがある
・排便や性交のときに痛みを感じることがある
・おなかにしこりがある気がする
・不正出血がある

 「子宮内膜症の増加には、初潮の低年齢下、晩産化、未婚の増加によって女性の生涯月経回数が激増したことが影響しているとみられます。妊娠・出産回数の減少は子宮体がんも増加させています。いま子どもがほしくない人は、低用量ピルを服用すれば、月経の量が減り月経痛も軽くなり、周期も安定します。ピルの服用で、子宮内膜症や子宮体がん、卵巣がん、大腸がんのリスクを減らすこともわかっています」(上坊医師)

 元気に働き続けるためには、何でも相談できるかかりつけの婦人科医がいると安心だ。

引用元:
初潮低年齢化、晩産化で増加"子宮の病気"(プレジデントオンライン)