京都大の研究チームは、遺伝子の変異でがんになりやすい「遺伝性乳がん卵巣がん症候群」の発症メカニズムを解明したと発表した。女性ホルモン「エストロゲン」が細胞の異常増殖に加え、DNAの切断を促し、相乗作用でがんの発症が高まることを突き止めた。発症年齢の予測などに役立つ可能性があるという。論文が23日、米科学アカデミー紀要電子版に掲載される。

研究チームによると、日本で推計年間9万人が発症する乳がんの5〜10%、同約1万人の卵巣がんの10%は遺伝性。「BRCA1」と呼ばれる遺伝子などの欠損で発症する例が多いとされる。米女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが予防的に両乳房や卵巣などを除去し、「アンジーの決断」と議論を呼んだ。

 研究では、BRCA1が機能しないようにしたマウスで実験。エストロゲンを投与したところ、乳腺組織でDNAの切断が約10倍多く起きた。エストロゲンは従来、がん細胞を増殖させることが知られていたが、放射線のようにDNAを切る作用もあることが分かった。DNAを修復する働きを持つBRCA1が欠けているため、がん化するという。

 研究チームの笹沼博之・京大大学院准教授は「現在は遺伝子の変異がある女性について発がん頻度を判断できない。研究が進み、例えば発症が50歳以降と予測できれば、出産後に乳房や卵巣の予防的切除を受けることなども可能になる」としている


引用元:
遺伝性乳がん卵巣がん 発症の仕組み解明 (毎日新聞)