経口避妊薬の使用で卵巣がんリスク減

これまでの研究で、経口避妊薬を使用する女性は卵巣がんに罹患するリスクが低いことが報告されている。今回、新たな研究で、旧タイプとは含有成分が異なる新しい経口避妊薬にも卵巣がんの予防効果がある可能性が示唆された。英アバディーン大学のLisa Iversen氏らが実施した研究によると、低用量のエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲストーゲン(黄体ホルモン)が配合された比較的新しいタイプの経口避妊薬は、長期にわたり卵巣がんへの予防効果を示し、服用を中止した後もその効果は数年間持続することが分かったという。詳細は「BMJ」9月26日オンライン版に掲載された。


画像提供HealthDay

Iversen氏らは今回、ホルモンの配合や濃度が旧タイプとは異なる新しい経口避妊薬でも卵巣がんの罹患リスクが低減するのかどうかを検討するため、エストロゲンとプロゲストーゲンを配合する混合型の経口避妊薬に加えて、プロゲストーゲンのみを含有する製剤についても、卵巣がんの罹患リスクへの影響を調べた。

研究では、1995〜2014年のデンマーク国内の処方記録やがん登録のデータを用いて、15〜49歳の女性187万9,227人を対象に、ホルモン避妊薬の使用経験がない群と現在使用中または1年以内に使用した群、使用を中止してから1年以上経過している群の3つの群に分けて前向きに追跡した。その結果、対象女性の86%が新しい混合型経口避妊薬を使用していた。

年齢やその他の因子で調整した解析の結果、卵巣がんの罹患率は経口避妊薬を使用した経験がない女性で最も高いことが分かった。また、混合型の経口避妊薬をどこかの時点で使用した経験のある女性は、卵巣がんの罹患率が大幅に低いことも明らかになった。一方、プロゲストーゲンのみを含有する経口避妊薬を使用していた女性では、卵巣がんに対する予防効果は認められなかった。全体として、経口避妊薬を使用すると卵巣がんの罹患リスクを21%低減できると推定された。

これらの結果について、専門家の一人で米レノックス・ヒル病院のJennifer Wu氏は「これまでの研究から、経口避妊薬を長期にわたり使用する女性は卵巣がんの罹患リスクが有意に低いことが明らかになっている。この研究は、新世代の経口避妊薬にも同様な予防効果があることが再確認されたにすぎない」と指摘している。また、同氏は、卵巣がんは見過ごされやすく致死率も高いことから、「だからこそ予防が肝心だ」と強調しつつ、「医師は、経口避妊薬の使用について患者と話し合う際には、卵巣がんリスクを低減できる可能性についても考慮すべきだ」と付け加えている。(HealthDay News 2018年9月26日)

▼外部リンク
・Newer Birth Control Pills Tied to Lower Odds for Ovarian Cancer


引用元:
新しい経口避妊薬にも卵巣がんの予防効果がある可能性(医療ニュース)