生まれる子供に影響が及ぶこともある。風疹の感染拡大を抑えたい。



 関東地方を中心に、風疹の感染者が増え続けている。9日までに報告された患者は496人で、昨年全体の5倍に上る。このままでは、患者が1万人を超えた2013年に迫る流行になりかねない。

 国立感染症研究所は今後、全国に広がる可能性もあるとみている。警戒を怠れない。

 風疹にかかると、耳の後ろや首などのリンパ節が腫れ、全身の発疹や発熱の症状が出る。感染力は比較的強く、くしゃみのしぶきなどを通じて、他の人にうつる。

 発症するまでの潜伏期間は2〜3週間だが、症状が出ない人もいる。知らずに感染を広げているケースもあるだろう。

 海外の流行地域に滞在中に感染しても、帰国時に症状が表れていないこともある。しばらくして体調に異変が生じたら、速やかに受診する。それが大切だ。

 特に注意すべきは、妊娠初期の女性だ。感染すると、出生児が先天性風疹症候群を発症する恐れがある。主な症状は白内障や難聴、心疾患だ。心身の発達に影響が生じる場合もある。13年の大流行では、乳児の死亡例もあった。

 感染予防には、ワクチン接種が有効だ。55歳以下の女性は原則として、過去に予防接種を受けているが、免疫が十分ではない人もいる。検査で確認したい。

 ただし、妊娠中の接種はできない。免疫のない妊婦は、周囲からうつされないよう細心の注意が必要である。家族にも、確実な予防策が求められる。

 拡大防止のカギを握るのは、成人男性だろう。今年の患者の9割が成人で、男性が女性の4倍に上る。中でも30〜50歳代が多い。

 この世代のほとんどが、定期接種を受けていないためだ。風疹を媒介しないよう、検査やワクチン接種を心がけてほしい。

 職場は感染拡大の場になりやすいだけに、企業の役割も大きい。妊婦がいる場合はもちろん、海外出張が多い企業も、社員の意識啓発に努める必要がある。

 政府は、20年までに「風疹の排除」を達成する目標を掲げる。東京五輪まで流行が続けば、せっかくの祭典に水を差しかねない。

 13年の大流行時には、米疾病対策センターが、日本への渡航を避けるよう、予防策が不十分な妊婦に呼びかけた経緯がある。

 欧米では、ワクチンなどで風疹の排除が着々と進む。日本でも早期の流行終息が求められる。


引用元:
風疹流行拡大 妊婦への感染防止を最優先に(読売新聞)