深刻な医師不足への対策として、県は12日、最優先で医師確保に取り組む必要のある県内五つの病院を発表した。産婦人科や小児科など4診療科で計15人の医師確保を目指す。5病院は二次救急やハイリスク分娩(ぶんべん)、小児救急の受け入れ先として各地域の中核病院に位置付けられているが、医師不足により役割が十分に果たせていない現状がある。県は医師派遣元大学との交渉や、大学への寄付講座設置などで、2年以内の医師確保を目標に掲げた。


選定されたのは、日立製作所日立総合病院(日立市)▽常陸大宮済生会病院(常陸大宮市)▽神栖済生会病院(神栖市)▽土浦協同病院(土浦市)▽JAとりで総合医療センター(取手市)-の5病院。

県は、診療報酬の明細書の分析などにより地域ごとの医療の特色を加味し、二次救急や周産期医療などを担う県内103の医療機関に求人情報(6月末現在)を確認、不足医師数を把握した。木庭愛県保健福祉部長は「地域住民が安心できる生活を送れるよう、産婦人科、救急科、小児科が特に不足するエリアで、その診療分野を担う病院を選んだ」と話した。

県医療人材課によると、日立総合病院は産婦人科医が不足し、低体重の出生児などのハイリスク分娩を扱う「地域周産期母子医療センター」が2009年以降休止。影響でハイリスク分娩時は妊産婦を水戸市まで搬送する必要がある。

JAとりで総合医療センターは、小児科医の不足により、深夜時間帯の小児患者受け入れが救急搬送のみに限定され、地域の中核として24時間小児医療を担う「地域小児救急センター」の役割が不十分だという。

ほかの3病院も、近隣の産科の分娩休止に伴い患者が集中していたり、内科・整形外科医の不足で事故などによる救急の受け入れに対応しきれていなかったりする現状がある。

今後、県と各病院は、寄付講座設置などにより医師確保を図る。県は本年度、寄付講座の設置費として計上した約1億円を活用する考え。加えて医師確保に向けた政策パッケージを2月に策定しており、県内全域の医師確保を並行して実施する。

砂押道大県医療人材課長は「今後、県内の病院の状況に大きな変化があれば、優先度や人数を変えていきたい」と、柔軟に対応する姿勢を見せている。

引用元:
医師確保急務5病院 産科や小児科15人 茨城県、2年以内を目標(茨城新聞)