ゆったりとした下着を着ることで精子の数や関連ホルモンを改善できることが、米ハーバードT・H・チャン公衆衛生大学院の研究で明らかになった。




男性656人を対象にした調査では、トランクスをはいている男性の方がぴったりした下着の人より精子の濃度が25%高かった。

睾丸の周囲の温度が低いことが理由のようだ。




専門家は、こうした簡単な生活スタイルの変化で男性の生殖能力を改善できるとしている。

「脳が精子の生産を促進する」

精巣の働きは34度以上の温度に弱く、これが睾丸が外にぶら下がっている理由でもある。

ボクサーパンツやブリーフなど、陰のうが体に触れるデザインの下着では睾丸が温まってしまうが、トランクスなどでは睾丸が下がって温度も下がる。

過去最大規模の今回の研究では、生殖機能クリニックを訪れた男性のうち、ゆるい下着を着けていた人ほど高い精子濃度を示した。きつい下着の人よりも総精子数は17%、活動する精子は33%、それぞれ多かった。


一方、下着の種類と精子の形に、相関関係はなかった。DNAの質にも影響はなかった。

研究者は他にも、精子の数に影響するとみられる年齢や肥満指数(BMI)、喫煙、入浴習慣といった要因を考慮に入れた結果、下着の中の温度が、根本原因だと推測している。

学術誌「ヒューマン・リプロダクション」で発表されたこの研究ではまた、ゆったりとした下着を着ている男性の方が、睾丸に精子生産を促す卵胞刺激ホルモン(FSH)の量が14%低いことが明らかになった。

つまり、きつい下着で陰のう温度が上がり精子の数が減ると、このホルモンの分泌が促進されるのではないかとみられている。

今回の研究に関わっていない英シェフィールド大学の男性病学教授アラン・パーシー氏は、下着のタイプによって男性のFSH数値が異なるのは、「きつい下着をはく人が睾丸にダメージを負っている証拠」を示していると話す。

「生殖はチームスポーツ」

この研究は精子の質と量に関するもので、生殖能力そのものについてではない。

下着のタイプにかかわらず、調査対象者の精子数は正常範囲だった。

しかしパーシー教授はBBCの取材に対し、「きつい下着を、ゆったりした下着に変えることで、精子の生産量が少なめの男性は、状態が改善するかもしれない」と話した。

「きつい下着が(精子数に)影響するという結果が出ているし、比較的簡単で安い改善方法があることも分かった」

研究筆者のホルへ・チャベッロ博士はBBCに、「精子の全体数が変わるには約3カ月かかるので、前もって計画する必要がある」と話した。

「不妊は確実に、女性だけの問題ではない。生殖はチームスポーツだ。子どもを作るには男女両方が必要だ」

「妊娠における男性の役割について、我々はもっと知る必要がある」


引用元:
ゆったりした下着が精子の数を増やす? 米ハーバード大の研究で明らかに(BBCニュース)