飽食といわれる日本で、若い女性の「痩せ」による栄養不足が問題となっている。

 女性自身の健康だけでなく、痩せた状態で妊娠・出産すれば生まれてくる子供の健康にも影響を及ぼすためだ。こうした状況を変えようと、正しい栄養の知識を身につけてもらうための取り組みも始まっている。(平沢裕子)

 ◆20代は5人に1人

 「日本では痩せている女性があまりにも多すぎる。痩せているのを美とする社会風潮が依然としてあり、栄養不足というより栄養失調といってもいい状態なのに、問題に気付いていない女性も多い」。こう指摘するのは、産婦人科医で早稲田大ナノ・ライフ創新研究機構・招聘(しょうへい)研究員の福岡秀興さんだ。

 WHO(世界保健機関)は、体格指数(BMI=体重キログラム÷身長メートルの2乗)が18・5未満を「低体重(痩せ)」としている。厚生労働省の国民健康・栄養調査(平成28年)によると、痩せの20代女性は20・7%で5人に1人が該当する。21年には24・6%だったので若干減ったとはいえ、「この割合は、まだ高いと考えるべき」(福岡さん)。

 女性の痩せは、月経不順や無月経とも関連し不妊の原因となる他、閉経後に骨粗鬆(こつそしょう)症となるリスクが高くなることが分かっている。

 ◆低体重児のリスク

 痩せているのは、食事量が少なく、十分なエネルギー量が摂取できていないため。その結果として、エネルギーだけでなく、必要な栄養素が取れていない可能性が指摘される。

 中でも心配されるのが、「造血のビタミン」ともいわれる「葉酸」の不足だ。葉酸は胎児の中枢神経系など新しく細胞をつくるときに必要な栄養素で、妊娠中の葉酸不足は二分脊椎症などの神経管閉鎖障害を持つ子供が生まれるリスクが高くなる。

 妊娠判明後に葉酸を積極的に摂取しようとする女性もいるが、福岡さんは「痩せた状態で意図せずして妊娠する可能性は十分にあり、次世代への影響が懸念される。これは女性個人というより社会全体の問題といえ、若い女性が望ましい食習慣を確立できるようなサポートが必要」と話す。

 また、痩せた女性の赤ちゃんは出生体重が小さい。小さく産まれた子供は正常体重の子供に比べ、成長後に糖尿病など生活習慣病となるリスクが高いことも分かっている。

 ◆試食で適正量学ぶ

 産科婦人科舘出張(たてでばり)・佐藤病院(群馬県高崎市)は、妊婦への栄養指導に力を入れている。妊娠初期の母親学級で90分間、栄養士による講義や献立づくりで栄養について学ぶ他、妊活中の女性も参加できる「学びカフェ」も開催。ここでは試食しながら適正な食事の量や栄養について教えている。

 管理栄養士の水出(みずいで)恵子さんは「試食の食事を見て、『こんなに食べてもいいんだ』と驚く妊婦さんが多い」と話す。「肉や魚などタンパク質を含む食品の必要性が理解されていない。タンパク質は体を作る基になる栄養素だけに、妊婦さんは意識してしっかり取ってほしい」

 一般的に母体の年齢が上がると低出生体重児が増えるという相関関係があるが、同病院では母体の平均年齢が上がっているにもかかわらず低出生体重児の出生率は5%未満が続いており、栄養指導によって栄養状態が改善した成果とみられている。

 また、日本栄養士会は、管理栄養士らが監修する栄養に関する情報サイト「NU+(ニュータス)」で妊娠時の食生活の基本などを専門家が分かりやすく解説している。


引用元:
若い女性の痩せ 次世代への影響も懸念(livedoor)