これまで「妊婦や妊娠している可能性のある女性」には禁忌とされてきた、アトピー性皮膚炎治療薬のプロトピックや、免疫抑制に用いるプログラフやサンディミュンなど、妊婦等にも使用を可能とする。ただし、「催奇形性等のリスク」を十分考慮し、危険性が治療上の有効性を上回ると判断される場合にのみ投与することが求められる―。

厚生労働省は7月10日に通知「『使用上の注意』の改訂について」を発出し、こうした情報提供を行いました。また、妊婦等への使用に当たっては、十分にリスク等を説明することも必要です(厚労省のサイトはこちら)。

 今般、新たに重大な副作用などが判明したのは次の5医薬品です。厚労省は製薬メーカーに対して速やかに「使用上の注意」を改訂するよう指示しました。臨床現場で極めて広く使われている医薬品もあり、十分に注意する必要があります。

(1)子供によく見られる重症のアレルギー性結膜炎である春季カタルの治療に用いる「タクロリムス水和物(点眼剤)」(販売名:タリムス点眼液0.1%)

▼【禁忌】の項から「妊婦または妊娠している可能性のある婦人」を削除
▼【使用上の注意】の「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項において、「妊婦・妊娠している可能性のある女性(従前は婦人)」に関する記載を、「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する。動物実験(ウサギ、経口)で催奇形作用、胎児毒性が認められたとの報告あり。ヒト(経口)で胎盤通過の報告あり」の旨へ改める
(従前は、「妊婦・妊娠可能性のある婦人には投与しない。妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。動物実験(ウサギ、経口)で催奇形作用、胎児毒性が認められたとの報告あり」の旨が記載されていた)
※「授乳中の婦人には授乳を避けさせる。母乳中へ移行する可能性あり」旨の記載には変更なし

 
(2)アトピー性皮膚炎の治療に用いる「タクロリムス水和物(軟膏剤)」(販売名:プロトピック軟膏0.1%、プロトピック軟膏0.03%小児用、タクロリムス軟膏0.1%「NP」など後発品多数)

▼【禁忌】の項から「妊婦または妊娠している可能性のある婦人」を削除
▼【使用上の注意】の「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項において、「妊婦・妊娠している可能性のある女性(従前は婦人)」に関する記載を、「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用する。動物実験(ウサギ、経口)で催奇形作用、胎児毒性が認められたとの報告あり。ヒト(経口)で胎盤通過の報告あり」の旨へ改める
(従前は、「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には使用しないこと。〔動物実験(ウサギ、経口投与)で催奇形作用、胎児毒性が認められたとの報告がある」旨が記載されていた)
※授乳婦に関する「母乳中へ移行する可能性があり、使用中の授乳は避けさせる」旨の記載には変更なし

 
(3)腎移植、肝移植、心移植、肺移植における拒絶反応抑制や、ステロイド依存性の潰瘍性大腸炎の緩解維持、治療抵抗性の全身性エリテマトーデス(SLE)などリウマチ性疾患の治療に用いる「アザチオプリン」(販売名:アザニン錠50mg、イムラン錠50mg)

▼【禁忌】の項から「妊婦または妊娠している可能性のある婦人」を削除
▼【使用上の注意】の[重要な基本的注意]の項において、「本剤投与中の患者において、リンパ球に染色体異常を有する児が出生したとの症例報告あり。動物実験(ウサギ、ラット、マウス)で催奇形性作用が報告されている。本剤投与中の患者には男女共に避妊を行わせる」旨を削除
▼【使用上の注意】の「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項において、「妊婦・妊娠している可能性のある女性(従前は婦人)」に関する記述を、「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する。妊娠する可能性のある女性には、本剤のリスクを説明する。可能な限り、投与期間中の妊娠を避けさせることが望ましい。ヒトで胎盤通過の報告あり。リンパ球に染色体異常を有する児が出生したとの症例報告、出生した児で先天奇形、血球数の減少、免疫担当細胞数の減少が認められたとの報告あり。本剤を妊娠期間中に投与された女性(特に副腎皮質ステロイド併用)で、早産・低出生体重児出産の報告あり。両親のいずれかへの本剤投与に引き続き、自然流産が発現したとの報告あり。動物実験(ウサギ、ラット、マウス)で催奇形性の報告あり」の旨に改める
 さらに、「『パートナーが妊娠する可能性のある男性』への投与では、本剤のリスクを説明する。可能な限り、投与期間中はパートナーの妊娠を避けさせることが望ましい。細菌を用いた復帰突然変異試験及びマウス、ラットを用いた小核試験で遺伝毒性の報告あり」の旨を追記する
※「授乳婦に投与する場合は授乳を中止させる。授乳婦の投与に関する安全性は確立していない」旨の記載には変更なし

 
(4)腎移植、肝移植、心移植、肺移植、骨髄移植における拒絶反応抑制や、ベーチェット病や難治性の尋常性乾癬、膿疱性乾癬、重症の再生不良性貧血(重症)、ネフローゼ症候群などの治療に用いる「シクロスポリン(経口剤、注射剤)」(販売名:サンディミュンカプセル(25mg・50mg)、サンディミュン内用液10%、サンディミュン点滴静注用250mg、ネオーラル内用液10%、ネオーラルカプセル(10mg、25mg、50mg)、シクロスポリンカプセル「BMD」など後発品多数)

▼【禁忌】の項から「妊婦または妊娠している可能性のある婦人、または授乳婦」を削除
▼【使用上の注意】の「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項において、「妊婦・妊娠している可能性のある女性」に関する記載を、「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する。動物実験(ラット)で催奇形作用、難産、周産期死亡の報告あり。ヒトで胎盤通過の報告あり。妊娠中に本剤を投与された女性において、早産・児への影響(低出生体重、先天奇形)の報告あり」の旨へ改める
(従前は、「妊婦・妊娠している可能性のある婦人には投与しない。動物実験(ラット)で催奇形作用、難産、周産期死亡の報告あり」と記載されていた)
※「本剤投与中は授乳を避けさせる。母乳中へ移行するとの報告あり」との記載には変更なし

 
(5)腎移植、肝移植、心移植、肺移植、骨髄移植における拒絶反応抑制などに用いる「タクロリムス水和物(経口剤、注射剤)」(販売名:グラセプターカプセル(0.5mg、1mg、5mg)、プログラフカプセル(0.5mg、1mg、5mg)、プログラフ顆粒(0.2mg、1mg)、プログラフ注射液(2mg、5mg)、タクロリムスカプセル「ニプロ」ほか後発品多数)

▼【禁忌】の項から「妊婦または妊娠している可能性のある婦人」を削除
▼【使用上の注意】の「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項において、「妊婦・妊娠している可能性のある女性」に関する記載を、「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する。動物実験(ウサギ)で催奇形作用、胎児毒性の報告あり。ヒトで胎盤通過の報告あり。妊娠中の本剤投与女性で早産・児への影響(低出生体重、先天奇形、高カリウム血症、腎機能障害)の報告あり」の旨へ改める
(従前は、「妊婦・妊娠可能性のある婦人には投与しない。動物実験(ウサギ)で催奇形作用、胎児毒性の報告あり」と記載されていた)
※授乳婦に関する「本剤投与中は授乳を避けさせる。母乳中へ移行するとの報告あり」の旨の記載には変更なし


引用元:
アトピー治療剤のプロトピックや免疫抑制剤のプログラフ、妊婦には催奇形性リスク考慮した使用を―厚労省(メディ・ウォッチ)