◇「産後ドゥーラ」福井に来月開業
◇資格取得の水島さん 4人子育て経験生かす
産前産後の母親に寄り添い生活の手助けをする専門家「産後ドゥーラ」が7月、北陸3県で初めて福井市で開業する。4人の子育てを経験した越前町在住の水島ゆかりさん(49)。3世代同居が多く、育児しやすいとされる県内だが、「孤独なママも増えている。赤ちゃんを連れて気軽に子育てサロンに集ってほしい」と願っている。(中田智香子)
「最初はできなくて当たり前だから、大丈夫」
水島さんが優しく声をかけると、新米ママの目にみるみる涙があふれた。今春、ドゥーラとして参加した勝山市での「抱っこ講座」。「抱っこで寝てくれないのに、誰にも相談できなかった」と打ち明けられると、胸が熱くなった。自らの手でママの心をほぐせたと感じ「ちょっとした支援で『孤育て』から救われる母親がいる」と思いを強めた。
福井市日光、松本通り沿いのマンション6階に構える念願の事業所は、「お母さんのための子育てサロン ママのまま」と名付けた。
自宅を訪問してのサポートに加え、ここで子育てや料理の講座も開く。知識を伝えるのはもちろん、「困りごとを抱えるお母さんに、安心して肩の荷を下ろしてもらえる場所にしたい」。
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水島さんは、1988年に長男を出産。鯖江市の実家で、看護師だった母が手際よく身の回りの世話をし、授乳の仕方を教えてくれた。昔から「床上げ3週間」と言われる通り、産後しばらくを安静に過ごすことで、心身ともに元気に育児をスタートできたという。
同居する両親らに支えてもらいながら子育てをする――。そんな福井の良さが薄れてきていると感じたのは、2008年、三男と16歳離れた四男を授かった時。子連れで出かけた先で、母親たちが必要以上に強い口調で子どもを叱る姿が目に付いた。「ママ友」たちは「里帰り出産しても、親がずっと仕事で結局一人」「転勤族で近くに頼れる人がいない」とこぼしていた。
乳幼児が虐待や育児放棄のために亡くなったとのニュースを見る度に、いつも胸が締め付けられた。ベテランとしての経験を生かしたいと、外出先で声を荒らげる母親や泣き叫ぶ子どもを見かけると声をかけた。
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14年の春、テレビで知ったのが産後ドゥーラという仕事だった。相談相手になったり、体にやさしい料理を作ったり、幼いきょうだいの世話をしたりして、出産直後の母親を支える。「これだ」と心を決めると、家事と育児の傍ら勉強に打ち込み、夜行バスで東京に通って実習もこなした。16年に資格を取得。その後も、保育所に勤めるなどしてスキルを磨いた。
福井市に構えたサロンには、柔らかい日が差し、優しい風が通る。「寝てほしい時に限ってなかなか寝てくれんで」「そうそう」「うちもそうだった」。本格オープンを前に今月サロンで開催した抱っこの講座では、育児や赤ちゃんとの向き合い方、一人の女性としての生き方にも会話が及び、初対面とは思えないほどの盛り上がりを見せた。和やかな笑い声が響くそばで、赤ちゃんは気持ちよさそうにぐっすり眠っている。
「居心地がいいわぁ」とくつろぐ母親たちに、水島さんはせっせと飲み物を振る舞いながら、笑顔を返した。
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7月1日には、オープンイベントとして、離乳食と大人用の食事を同時に料理する実演や、育児相談などを予定している。午前10時〜午後4時、出入り自由で参加費は大人500円。
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<産後ドゥーラ> 「他の女性を手助けする経験豊かな女性」を指すギリシャ語に由来し、産前産後の母親のケアを専門とする米英で一般的な職業。国内では、2012年に一般社団法人ドゥーラ協会が設立され、民間資格を創設。21日現在の認定者は319人。利用は、1時間3000円程度で、ドゥーラに自宅を訪問してもらうのが一般的。
奈良県天理市が16年度に公費で養成し、東京都品川区が利用料を助成するなど、活用に前向きな自治体も出てきている。
引用元:
悩めるママ 専門家手助け 福井 (読売新聞)