よく耳にする女性ホルモンや女性ホルモンのバランス、実際それは何を表しているのでしょうか?

月経不順や不妊にもつながるホルモンバランスについて、今日は医学博士の筆者がこれまでの経験と参考情報をもとに分かりやすく説明していきます。



【INDEX】
▼そもそも「女性ホルモン」って何?
▼ホルモンが乱れるとどうなる?
▼妊娠への影響は?

▼そもそも「女性ホルモン」って何?

そもそも女性ホルモンとは単一の名称ではなく、いくつかのホルモンの総称を女性ホルモンと言っています。それぞれ

(1)エストロゲン(卵胞ホルモン)

(2)プロゲステロン(黄体ホルモン)

の2種類を言います。エストロゲンはさらにエストラジオール、エストリオール、エストロンの3種類に分けることが出来るため、細かく分けると女性ホルモンは4種類あるということが言えます。

ではそれぞれどのような作用があるのでしょうか?


(1)エストロゲン

卵胞が発育するときに分泌されるホルモンで、卵胞ホルモンとも言われ、排卵が近くなる時に子宮内膜を厚くする働きがあります。さらに女性らしい体つきにするのに必要なホルモンとなります。※1)


(2)プロゲステロン

排卵された後に黄体から分泌されるホルモンで、黄体ホルモンとも言われ、受精卵が子宮内膜に着床しやすくします。(妊娠を助けると表現することもあります※2))さらに体温を上げたり、乳腺を発育させる働きがあります。場合によってはむくみが生じたり、便秘を起こしたりします。※1)

と言うように同じ女性ホルモンであってもそれぞれ作用が異なるのがわかります。



▼ホルモンが乱れるとどうなる?


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女性の身体は繊細であり、このエストロゲンとプロゲステロンの分泌によって月経周期が保たれます。さらにこれらのホルモンを分泌するためには脳にある下垂体と言うところから分泌される卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンの分泌が必要になってきます。

ストレスを強く感じると脳に影響が及ぼされて、卵胞刺激ホルモンや黄体形成ホルモンを分泌するためのホルモンであるゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)の分泌異常が起こります※3)。

それによって女性ホルモンを分泌する大元が上手く作用しないので、結果的に女性ホルモンの分泌量に変化が生じ月経不順などになります。これが一般的に言うホルモンバランスの乱れということです。

医学的には“ホルモンバランスの乱れ”と言う言葉はありませんが、以下のような図式で月経が乱れたりすることを一般的にそう呼んでいます。


1.ゴナドトロピン放出ホルモンが放出できない→2.卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモンが分泌できない→3.エストロゲン、プロゲステロンが分泌できない→4.月経が乱れる(=ホルモンバランスの乱れ)

ホルモンバランスが乱れる原因には上記のようにストレスもありますが、その他無理なダイエットなども原因として考えられます。※4)

ホルモンバランスが乱れることによって、血行、筋肉、関節、自律神経系、免疫系に支障が生じます。※4)



▼妊娠への影響は?


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エストロゲンとプロゲステロンは周期的に分泌されます。※2)これらのホルモンによって月経周期が一定の場合、排卵をし、妊娠が出来るようになります。

しかしホルモンバランスが乱れてしまうことによって、上手く排卵が出来ない、すなわち妊娠するのが困難になってしまう可能性も考えられます。※5)

まずは女性器関連疾患がないにも関わらず、月経が不順であった場合、ストレスチェックや無理なダイエットをしていないかなどを確認し、そこから改善していく事が重要となります。

どうしても改善されないと言う場合にはホルモンを外的に補充する治療法もありますので※3)、まずは婦人科に相談してみましょう。

引用元:
月経不順・不妊に関係する「女性ホルモン」乱れているサインは?(It Mama)