閉経のころから腟の渇きと不快感があり、膀胱炎も頻繁に繰り返すようになりました。これは更年期症状の一環なのでしょうか。何か治療法はありますか。(52歳主婦=女性)




閉経から女性ホルモンのレベルが低下し、腟壁と尿路性器の菲薄化(ひはくか)、乾燥、そして炎症が起きます。閉経だけでなく、卵巣を摘出したり、がん治療で放射線治療や抗がん剤投与により卵巣の機能が低下した場合などでも起こります。萎縮性(老年性)外陰腟炎と言い、主な症状は以下になります。
●膣の渇き、かゆみ、灼熱感
●腟分泌物(おりもの)の増加や変化(かゆみを伴ったおりものは、カンジダ菌の場合もあります)
●出血(閉経後の不正出血は子宮頸がん、子宮がんによって起こることもあるので詳しい検査が必要です)
●性交疼痛(とうつう)(腟炎以外に子宮がん、子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣疾患などで起こることもあります。)
●頻尿
●夜尿症
●排尿痛
●失禁
●再発性尿路感染

●治療法1:腟の潤滑クリーム、保湿クリームなど

症状が軽ければこのような治療で治まることもあります。「Replens」という潤滑クリームと保湿クリームがあります。これらは、処方箋を必要としません。

●治療法2:低用量女性ホルモンの腟内投与(Vagifem Ovestin)

安全な治療法で、女性ホルモンの胎内への吸収は最小限ですが、乳がん、子宮がん、卵巣がんなどのホルモン依存性腫瘍の既往歴がある人は要注意です。クリームやペッサリーとして使用されます。始めの1〜2週間は毎日挿入し、その後は週に1〜2回で維持できます。効果が現れるまでに4〜6週間掛かります。

●治療法3:選択的エストロゲン受容体モデュレーター(Selective estrogen receptor modulator/SERM)

「Duavive」という商品名で発売されている女性ホルモンとの混合薬は、従来のホルモン補充療法(

女性ホルモンと黄体ホルモンの混合)と比較すると副作用が少なく、同時に更年期症状を和らげ、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の予防にも効果があります。

●治療法4:デヒドロエピアンドロステロン(Dehydroepiandrosterone/DHEA)の腟内投与

この薬は血中の女性ホルモンや男性ホルモンに影響せず、乳がん患者にも使用できます。「Prasterone」という商品名で、調剤薬局(Compounding Chemist)で配合してもらわなければなりません。毎日、膣に挿入しなければなりません。

●治療法5:レーザー治療

この方法はレーザーで腟内の粘膜に刺激を与え、線維芽(せんいが)細胞を活性化させ、粘膜を修復し、薄くなった粘膜層を厚くし、潤いを良くする効果があります。麻酔は必要なく、副作用もほとんどありません。1〜2カ月間隔で3回治療をします。


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鳥居 泰宏(とりい やすひろ)
ノースブリッジ・メディカル・プラクティス
メルボルン大学医学部卒業。Northbridge Family Clinicを昨年閉院し、現在Northbridge Medical Practiceで診療中


引用元:
閉経とともに始まった腟の渇きや不快感、膀胱炎…。これって更年期障害?()