月16日に開催された東京都議会文教委員会で、自民党の古賀俊昭都議が、足立区の中学校で行われた性教育の授業を批判したという朝日新聞の記事が目にとまりました。古賀都議は、性教育の領域では知られた人物です。2003年、都立七生養護学校(当時)での性教育の授業が行き過ぎていると指摘したことがきっかけとなって、全国に“性教育バッシング”が吹き荒れることになりました。その後、「教育に対する不当な支配だ」と主張した原告側(校長・教員ら)に提訴され、古賀都議らの敗訴が確定しました。


 記事によれば、古賀都議は「中学生の段階で性交や避妊を取り上げるべきでない」と指摘。これを受けて性交、避妊、人工妊娠中絶を教えることは、中学保健体育の学習指導要領に準じていないとして、都教委が「不適切な性教育を行わないよう」にと区教委を指導したというのですからあきれます。

 手元に、16年の年齢別出生数と同年度の中絶数のデータがあります。これによれば、15歳以下の出生数は189件、中絶数は839件。出生数と中絶数を足し合わせた数を妊娠総数とした場合の中絶割合は81・6%となります。14歳以下の1人と15歳の3人の出産は第2子だったとの記録もあります。性教育に否定的あるいは消極的な方々は、この現実をどう捉えられるのでしょうか。「中学生の段階で性交や避妊を取り上げるべきでない」などとのんきなことを言っている暇はないのです。

 中学校の学習指導要領解説では、女子では月経が見られ、妊娠が可能となることを理解できるようにすることや、コンドームは感染を予防するために使用することが有効であると書かれていても、避妊の記述はありません。だから都教委の立場も理解できないではありませんが、学習指導要領はすべての生徒に最低限指導すべき内容を示しているのであって、生徒の状況に応じた指導内容の工夫を禁止しているわけではありません。

 日本家族計画協会が16年に実施した「第8回男女の生活と意識に関する調査」では、性に関する事柄を16項目挙げ、それぞれについて一般的には何歳くらいの時に知るべきだと思うかを尋ねています。15歳までに知るべきだと回答したのは、セックス(性交渉)71・0%▽避妊法73・5%▽コンドームの使い方66・3%▽人工妊娠中絶62・7%−−などとなっています。学習指導要領が足かせとなって、中学校現場での教育内容が批判されるなど決してあってはならないのです


引用元:
東京都教委の性教育指導 「バッシング」はもうご免だ(毎日新聞)