線維芽細胞増殖因子2(FGF2)と呼ばれるたんぱく質が、精巣内で精子がつくられるのを促すことを、マウスで確認したと、信州大や京都大などの研究グループが20日、米科学誌ステムセルリポーツに発表した。男性不妊症の仕組みの解明などにつながる成果という。

無精子症マウスの遺伝子治療 京大、精子形成を確認

 これまで、精子のもとになる精子幹細胞の増殖には、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)というたんぱく質や、信大の高島誠司助教らが増殖作用を発見したFGF2が機能すること。また、精子形成につながる細胞の分化にはレチノイン酸の働きが必要なことが分かっていた。

 今回、高島さんや正木魁人(かいと)・信大院生らの研究チームは、マウスの精巣にFGF2とGDNFをそれぞれ注入して細胞の性質を調べた。結果、FGF2の方が約2倍、より精子になりやすいタイプの細胞を増やす機能があることが分かった。また、FGF2がレチノイン酸の働きを助けて細胞の分化を促すことも確認された。

 高島さんは「精子形成の仕組みのうち、精子幹細胞が精子をつくり始める初期段階のメカニズムが分かった。今後、男性不妊治療の薬の開発などに役立つことが期待できる」と話している


引用元:
精子形成の初期段階、解明 信州大など(朝日新聞)