2018年1月19日、抗悪性腫瘍薬オラパリブ(商品名リムパーザ錠100mg、同錠150mg)の製造販売が承認された。適応は「白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法」、用法用量は「1回300mgを1日2回投与。患者の状態により適宜減量」となっている。

 卵巣癌に関して日本での罹患患者数および死亡患者数は、年々増加傾向にあり、女性性器悪性腫瘍の中でも最も死亡患者数の多い疾患である。卵巣癌では進行期が最も重要な予後因子とされており、III・IV期症例の予後は不良である。各種癌治療では早期発見・早期治療が予後に大きく影響するが、卵巣が骨盤内臓器であるために腫瘍が発生しても初期段階では自覚症状に乏しく、卵巣癌の進行期分布をみると約40〜50%の症例がIII・IV期症例である。

 現在、卵巣癌に対する化学療法としてはカルボプラチン(パラプラチン)などの白金系薬剤を含むタキサン系微小管阻害薬パクリタキセル(タキソール)の組み合わせによる化学療法レジメンは、奏効率が高いにもかかわらず、3年以内に約70%の患者で再発することが報告されている。2013年11月に血管内皮増殖因子(VEGF)に対する分子標的薬ベバシズマブ(アバスチン)が卵巣癌に使用可能となり、治療への有用性は高まったものの、「Stage3(FIGO分類)以上の卵巣癌患者への投与」という制限や「投与による消化管穿孔や腫瘍関連出血など重篤な副作用」の発現が認められていた。

 オラパリブは、DNA一本鎖切断修復の主要酵素であるポリ(アデノシン5’二リン酸リボース)ポリメラーゼ(PARP)を選択的に阻害する日本初となる経口の分子標的薬(PARP阻害薬)である。DNAに二本鎖切断修復機構である相同組換え修復が機能していない癌細胞に選択的に作用し、細胞死に導き抗悪性腫瘍効果を発揮する。承認時までの白金系抗悪性腫瘍薬感受性の再発卵巣癌患者を対象とした海外第2相試験とBRCA遺伝子変異陽性で白金系抗悪性腫瘍薬感受性の再発卵巣癌患者を対象とした国際共同第3相試験において、本薬の有効性と安全性が確認された。海外においては、2017年10月現在、欧州及び米国を含む世界50カ国以上でカプセル製剤(50mg/C) が承認されており、錠剤では米国で承認されている。

 薬剤使用に際しては、副作用が89.7〜92.3%認められていることに十分注意する必要がある。主なものとして悪心、貧血、疲労、嘔吐、無力症、味覚異常などであり、重大なものは骨髄抑制(貧血、好中球減少、白血球減少、血小板減少、リンパ球減少など)、間質性肺疾患が報告されている。

引用元:
卵巣癌に対する経口分子標的薬が初めて承認(日経メディカル)