東北大学大学院 医学系研究科は、ディープラーニングを用いて乳房エコー検査(乳腺超音波検査)画像内の腫瘤を識別することを目的とした研究を開始した。ディープラーニングによる自動診断が実用化すれば、画像診断の際の医師の負担軽減、偽陽性による無用な侵襲的検査や患者の心理的負担の回避などが可能になるとする。

 今回の研究は、研究科医学統計学分野 教授の山口拓洋氏らの研究グループが取り組む。画像を認識して高い精度で分類・推論できるディープラーニング手法、CNN(Convolutional Neural Network)に注目。対象の識別に有効な特徴量を学習によって自動的に獲得するディープラーニング技術を、多様な特徴を示す乳がんの病変に応用する。

 研究グループは、CNNの実装が可能なSAS Institute Japanの「SAS Viya」を採用し、乳房エコー検査画像を基にディープラーニングで乳がんを自動診断するシステムを作成。その精度および有用性について検討し、実用化を目指す。

 現在、乳がんの早期発見に向けた対策として、マンモグラフィー検査と合わせた乳房エコー検査が普及しつつあるが、エコー画像の読影が技師や医師の主観や経験に依存しがちな点や、読影による負担の増加が課題となっている。乳がんの主要な画像所見である腫瘤は、その形状や特徴が多種多様で良性と悪性の判別が難しい場合も多く、より正確に判定できる技術が求められている。


引用元:
東北大、ディープラーニングで乳がんエコーの腫瘤識別(ITpro)