母乳の出が良くないと悩んでいるママは少なくありません。

「母乳でおなかいっぱいにしてあげたい」のは、母親として当然の願いです。

筆者が今まで8,000人以上の母乳育児相談に関わってきました。そのなかで「母乳不足」という表現は果たして正確なのか? と考えてきたことについてまとめました。




【INDEX】
▼そもそも母乳不足の症状とは?
▼母乳不足と「母乳不足感」
▼母乳不足はだれかと比較ができない

▼そもそも母乳不足の症状とは?

「母乳の出が良くない」と自分を責めて、落胆しているママは少なくありません。筆者がこれまでみてきたママの中には、そのことが原因で産後うつになるほど自信をなくしてしまう方もいらっしゃいます。

でもちょっと立ち止まって考えてみませんか?

「母乳の出が良くない」と感じているのは、どのような理由からでしょうか?


「赤ちゃんがおっぱいを飲み終わってもすぐに泣くから」

「おっぱいを飲み終わっても寝てくれないから」

「搾ってもほとんど出ないから」

「おっぱいが張らないから」

このような理由でしょうか。

上記のような理由は、必ずしも「母乳不足」とイコールにならないのです。

つまり「赤ちゃんが飲み終わってもすぐに泣くから母乳不足」とは限らないし、「搾ってもほとんどでないから母乳不足」とは限らないという意味です。



▼母乳不足と「母乳不足感」

赤ちゃんが母乳を飲んだ後に「すぐにコテッと眠る」ということは、実は幻想だと筆者は思います。

赤ちゃんはママの抱っこが大好きなので、一人で寝かせたらすぐに泣きだすのはあたりまえです。俗にいう“背中スイッチ”です。


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おっぱいを飲み終わってすぐに泣くのは、「もう少ししゃぶっていたかっただけ」ということもあります。気持ちよくママの乳首を吸い続けていたら離されてしまい、「もっと〜」と言っているだけかもしれません。

そして、搾乳しても出ないと感じるときは、量が足りないのではなく、自分の母乳を搾るという体験が不慣れでうまくできていないだけなのかもしれません。

このように、母乳不足だと心配しているのはただの“母乳不足感”であって、実際はそうではないことがよくあるのです。



▼母乳不足はだれかと比較ができない

たとえが良くないかもしれませんが、月経の経血量で考えるとイメージしやすいのではないでしょうか。

経血量は他人と比較することがありません。もしかしたら「量が多い」と感じている人と「ほとんど出ない」と感じている人の量が、あまり変わらないかもしれないのです。

一人一人体質や体力や年齢が違うので、母乳がよく出ると感じる人、出が悪いと感じる人がいるのは当然です。また、出産したらすぐ出るようになる人もいれば、1〜2ヶ月たってから出るようになる人もいます。

専門家向けの書籍にもこのように書いてあります。


「授乳間隔が短く、すぐにほしがるのは母乳が不足しているからである」「乳房の張りがなくなってきたのは母乳分泌が減ってきたからである」「30分以上乳房を離さないのは、母乳不足の証拠である」というようなことは、いずれも不適切な情報である。

参考:母乳育児支援スタンダード(p259)

「母乳が足りないかも」と感じたときは、ミルクで満腹にする前に、母乳育児に熱心な医師や助産師に相談することをお勧めします。

もしかしたら、実際は不足していないかもしれませんよ。


引用元:
【おっぱいの悩み】母乳が足りない? 実は違うのかも(It Mama)