「妊産婦の心身が満たされるお産を医療現場に広げたい」と志す助産師が集い、母親から出産時の体験や要望を聞き取る会がこのほど、静岡市葵区で開かれた。総合病院の産科病棟師長や看護専門学校長を含む27人の助産師が参加。市内外から訪れた25人の母親の本音に耳を傾けた。
 静岡県内の総合病院に勤めるベテラン助産師は「所属する産科は混合病棟で忙しく、健康な妊婦は置き去りになりがち。環境は変えられなくても、何とかしたい」との思いで参加した。ベッドの稼働率向上のため、認知症や骨折などさまざまな女性患者を産科病棟に受け入れていて、助産業務に専念できないという。
 助産師と母親が一緒になったグループごとに、出産体験や病棟の実情を出し合った。続いて「入院中に傷ついた言葉や言動」「こんなお産をしたい」などのテーマを書いた模造紙に、それぞれの考えを書いた紙を貼って全員で観覧した。
 母親からは、助産師に対して「優しい言葉」「具体的・分かりやすい説明」のほか、「(陣痛中など)そばにいてほしい」と求める声が目立った。また、複数が病院に対して「家族やきょうだいの、出産立ち会い」を望んだ。

同市内の病棟師長滝沢文恵さんは「医療者の何げない一言に落ち込んだという人もいた。言葉に気を付けるよう院内で伝えたい」と話し、「お母さんが望むお産に近づけるにはどうしたらいいか考えたい」と続けた。同市の病院に勤務して2年目の斉藤如穂(ゆきほ)さん(26)は「業務に慣れるにつれて、お母さんの心が見えなくなっていたと気付いた。医療者でなくお母さんが主役だと忘れずに寄り添いたい」と意欲を新たにした。
 発起人の浜松加寸子・常葉大健康科学部教授によると、妊婦が「周囲に支えられ、認められている」と安心できるお産は、その後の母子の愛着形成に良い影響をもたらすことが分かっている。「リスクの高い妊婦や、妊婦以外の重症患者が増え、院内で助産にこだわるのは難くなっている。しかし、助産師が妊産婦の気持ちを意識することで、一つでも多くの“満たされたお産”が実現できたら」と期待する。会は継続して開く予定。

引用元:
妊産婦の声を医療現場に 助産師集い「聞き取る会」 静岡(@S[アットエス] by 静岡新聞)