育児とは男女協力して行うことであるが、男性にはどうしてもできないことがひとつある。それは授乳。哺乳瓶でミルクをあげることはできても、自分の胸から母乳を出すことはできない。だが、もしかするとそれは過去の常識になるのかもしれない。なんと、元男性のトランスジェンダー女性が授乳に成功したというのである。今月13日の「Daily Mail」が報じている。

0214feeding-1.jpg 画像は「Daily Mail」より引用

■「我が子に授乳したい」

 米国ニューヨークにあるマウント・シナイ医科大学を、一人の30歳のトランスジェンダー女性が訪れた。彼女の目的はもうじき生まれる我が子に授乳すること。彼女のパートナーである女性は妊娠中だったが、生まれてくる赤ちゃんを母乳で育てる事には消極的だった。そこでこのトランスジェンダー女性は、自らの母乳で子育てをしたいと考えたのである。

 彼女は性別不一致で2001年から女性ホルモンなどを投与する治療を受けていた。外性器や豊胸の手術などは行っていなかったが、女性のような立派な乳房を持っていたという。

 赤ちゃんが生まれるまでの三カ月半、彼女はホルモン治療や搾乳といった治療を続けた。結果、一日8オンス(226グラム)の母乳を分泌する事に成功し、赤ちゃんは生まれて6週間はほとんど母乳だけを与えられた。その後の6カ月間授乳は続き、赤ちゃんは母乳と離乳食で育てられ、健康に成長中ということである。

 トランスジェンダー女性の授乳は世界で初めてとのことで、主治医のタマル・ライスマン氏らは先月、医学誌「Transgende Health」に症例報告を発表している。

■男性も母乳を出せる

 男性にも母乳を作る乳腺はあり、薬の影響や病気などによって乳汁が分泌されることはありうる。また、成分は女性のものと変わらないともいわれている。

 今回の患者はエストロゲンのような女性ホルモンに加え、乳汁を分泌させるというドンペリドンを投与された。彼女は治療開始から1カ月ほどで乳汁の雫を作り出したが、ライスマン医師によると搾乳の刺激だけで母乳を分泌した可能性もあるという。

 ミルクなど様々な代替物のある現代において、赤ちゃんに母乳は絶対に必要という訳ではないが、母乳育児が赤ちゃんの消化器系や免疫に良い影響があるのはよく知られている通りである。このトランスジェンダー女性にとって、授乳は我が子にどうしてもやってあげたいことだったのだろう。選択肢が増えることは何にしろ喜ばしいことだ。

 男性への子宮移植と出産が可能であることは以前トカナでも報じているが、今回は新たに授乳も可能なことが判明した。昨今はイクメンが注目され、男性の育児参加は当然のものとなりつつあるが、いずれ出産や授乳も担う真のイクメンが登場するかもしれない。


引用元:
世界初! 男性から性転換した女性が授乳に成功!外科手術ナシ、父親が授乳を担う時代の到来か!?