重大事故が続いた産婦人科診療所が2017年2月末に閉院した今治市で、同10月にさらに1診療所が高齢化で分娩(ぶんべん)の扱いをやめたことが8日までに分かった。同診療所での分娩は年間約130件で、妊婦健診は診療所が続け、分娩は中核病院が担う「セミオープンシステム」により県立今治病院を中心に対応している。市内で分娩を扱う診療所は2カ所となり、関係者からは同病院の医師増員を求める声も出ている。

 県立今治病院産婦人科では、閉院した診療所の重大事故発覚後の17年1月に愛媛大派遣の1人が加わり、常勤医3人で分娩に対応。17年2月1日〜18年1月末の扱い件数は427件で前年から64件増えている。

 同病院でのセミオープンシステムを提案した愛媛大医学部の杉山隆教授(産科婦人科学)は今回の分娩引退の影響について「負担はかかっているが対応できている」と認識。18年度から愛媛大のキャリア3〜5年目の専攻医1人が常時ではないが研修で訪れる計画だとし、市健康推進課も「現場は大変かもしれないが問題があるとは聞かない。産後のフォローなどできる支援をしたい」という。

 一方、分娩を扱う市内診療所の院長は「お産は昨年より月2件ほど増えたがさほど負担は感じていない。むしろ県立病院への影響が心配」と説明。市医師会も「苦情などはなく地域の周産期医療は維持できている」としつつ「今後も県立病院を中心に対応するが、可能なら常勤医を1人増やしてもらいたい」と求めた。


引用元:
県立病院の負担増加 今治、分娩1診療所中止(愛媛新聞)