こんにちは、小川大介です。
「ビジネススキルを活かして楽しむ脱力系子育てのススメ」、今回は「心のゆとり」に役立つお話をしたいと思います。
(IiStock/evgenyatamanenko)
『頭が良くなる子どもとの遊びかた』
もともと中学受験指導を中心に経験を積んできた私ですが、子どもの学力を育てるという視点が、子どもを伸ばす関わり方に広がり、さらにここ数年は「人を伸ばす関わり方」へと指導の領域が広がってきました。
その一環で本連載も担当させていただけているわけですが、近著では『頭が良くなる子どもとの遊びかた』(大和書房)と、幼児期から小学校低学年時の子どもとの遊びかたの本まで出させていただきました。
学習指導の世界にいる私が、「遊びかた」の本を出したというと、「遊びぐらいは自由にさせて欲しいな」という反応が返ってくるかもしれません。「正しい遊びかた」をレクチャーされそう、といった印象で。それは嫌ですよね。
私も人の遊びに口を挟むのも挟まれるのも遠慮したいと思っています。
では何について書いた本なのかといいますと、
わが子が遊んでいる時の接し方、受け止め方と、考える力や発想力をより刺激できる遊びへの参加の仕方について、たくさんの例を挙げながらお話しした本なのです。
この本で一番伝えたかったメッセージは、「遊びと学びを分ける必要はありません」ということ。
そして読み終えた読者の方に伝わって欲しいのは、「子どもの力を信じて、肩の荷を下ろしてください」という思いです。「子どもの成長の全てが自分にかかっているなんて、過剰に責任を背負う必要はないんですよ。大丈夫ですよ。」という裏メッセージです。
頑張りすぎている親たちへ
なぜこのような本を世に贈り出そうと考えたかといいますと、親御さんたちの子育てに対する不安感が限界に来ているように感じることが重なったからです。
特に情報収集に熱心で、子どもの将来について一生懸命考えている方ほど、悩みが深まっているように思います。
待機児童問題や増税、少子高齢化社会の行く末といった社会的な視点での不安ももちろんありますが、私が気になるのは、もっと情緒的なものです。
言葉にするなら、「失敗するわけにはいかない」「自分の選択一つで子供の将来が決まってしまう」といった切迫感とでもいいましょうか。
中でも首都圏は、そうした不安感や焦燥感が強まりやすい傾向にあると感じます。子育てにおける判断を、地域に根差すネットワークではなく、マスメディアやネットメディア経由での情報に頼る人の比率が高いことが関係しているように思います。
私も一人の子の親ですから、気持ちはよく分かります。
自分の子には幸せに生きて欲しい、そのために自分にできることは何だってしてやりたい。
親ならだれしも持つ心でしょう。
その一方で、たくさんのお子さんたちを見てきた立場から分かることは、「子どもは自ら育つ力を持って生まれている」という事実です。何を与えられるかによって育ち方が決まるのではなく、子どもたちはそれぞれ自分なりの力をもともと持っていて、その力が上手く伸ばされるかどうかによって育ち方が変わるのです。
子どもが遊んでいる時間の意味とは
そしてその子なりの力がどのようなものかを最も雄弁に物語ってくれるのが、「子どもが遊んでいる時間」なのです。
遊んでいる時、子どもは自分の体と心のリズムに浸って関心の向かうままに熱中しています。走り回る子、地面をじーっと見つめている子、パズルを延々と解いている子、いろんな遊びがありますが、どの子も自分本来の姿を最大限発揮しています。
自分自身の時間だから、遊んでいて楽しいのです。
ですから、「遊び」に注目すれば、わが子の得意を見つけてあげられる。親子で一緒に遊べば、高額な知育玩具や幼児英才教室に頼るまでもなく、わが子の得意を一層伸ばしてあげられる。
大人の世界で飛び交う「子育て情報」に振り回されることなく、わが子に目を向ける心のゆとりを取り戻す方法として、「親子で遊べばいいんですよ」という提案をさせていただいた。
それが、「遊びかた」の本を刊行した理由です。
そして、単に「遊びましょう」というだけではかえって迷う方もいらっしゃるでしょうから、遊んでいる時の「ちょっとした関わりの工夫」をお話しするようにしました。
声かけの例や、遊びの発展のさせ方、遊んでいる様子からお子さんの資質をどう見つけ出すかといった内容です。
このあたり、ご興味ある方は機会ある時に『頭が良くなる子どもとの遊びかた』をチェックいただければ嬉しいです。
あと伸びする子育てのポイントは3つ
ただ、一つタネを明かしますと、いろいろな遊びを紹介していろいろと関わり方の工夫をお話ししている本書ですが、子どもなりの力を上手く伸ばしてあげるポイントはたった3つに集約されるのです。
1.認める
2.見守る
3.待つ
シンプルなのですが、私がお伝えしているのは実はこの3つだけです。
このたった3つのことが日常生活の中で実践できているご家庭では、あと伸びする子が育ちやすいのです。
逆もまたしかりです。
「1.認める」とは、子どもをあるがままに受け止めること。あれが出来たからいい子、これをしないから良くない子、といった「良い・悪い」と評価する心を離れて、「あなたはそうなんだね」とそのままを理解することです。
「存在を認める」ということですね。
あるがままの存在を認められた人は、それが子どもであっても大人であっても、自分の持つ力をのびのびと発揮しやすくなり、また自分の行動の結果についても自分で向き合う力が育ちやすくなります。
これは、コーチングの世界でも、コミュニケーションスキルの分野でもよく扱われる概念ですから、ご存知の方も多いと思います。
ただ、「認める」って難しいんですよね。
私たちの多くは学歴社会、村社会の日本で育ってきましたから、すぐ「良い・悪い」「正しい・正しくない」で判断したくなったり、人目を気にしてみたりしてしまいます。ちょっと古いですがKY(空気読めない)なんて言葉が、中高生の中で広がってしまうような社会なのですから、あるがままを受け入れるというのは簡単なことではありません。
「認める」ことができる状態に自分を持っていく必要があるのです。
自分を知れば相手を認めるゆとりが生まれる
その方法としてオススメなのが、「自分を知ること」です。
人それぞれ感情や思考のタイプというものがあります。個性ですから、どのタイプであっても構いません。大事なことは、自分のタイプを言葉でとらえて、一歩引いたところから自分を見つめてみるということです。
例えばコーチングの世界では、人を4つのタイプに分けてとらえることがあります。
T 促進型(プロモータータイプ)
U 支配型(コントローラータイプ)
V 支持型(サポータータイプ)
W 分析型(アナライザータイプ)
ここで少し時間を頂戴して、簡単タイプチェックをしてみましょう。
ご自身はどんなタイプでしょうか。気楽な気持ちで選択肢を選んで行ってみてください。
(一)A・Bの質問(どちらかといえばあなたはどっちですか?)
@ ア 自信がありそうに見える イ 自信がなさそうに見える
A ア 言いたいことを言う イ 言うのをためらう
B ア でしゃばり イ ひっこみがち
C ア 行動的 イ 思考的
D ア 情報を公表する イ 情報をしまっておく
E ア 反発する イ 受け入れる
F ア おしゃべり イ 無口
アの方が多い方は →A イの方が多い方は →B
(二)a・bの質問(どちらかといえばあなたはどっちですか?)
@ ア 即反応する イ 自制する
A ア だらしない イ きちんとしている
B ア 人間関係を大切にする イ 仕事の成果を大切にする
C ア 暖かい イ クール
D ア 自由を重んじる イ 規律を重んじる
E ア 感情を表す イ 感情をかくす
F ア 衝動的 イ 分析型
アの方が多い方は →a イの方が多い方は →b
(一)と(二)を掛け合わせると、おおよそ次のタイプに分かれます。
Aa =Tの促進型 Ab =Uの支配型 Ba =Vの支持型 Bb =Wの分析型
4つのタイプの特徴
それぞれ簡単に傾向を挙げておきますね。
T 促進型(プロモータータイプ)
面白く、活気のある事柄に、人々と一緒に熱中することを好みます。
細かいことはあまり気にせず、しばしば早吞込みをして物事を一般化します。
この活力や熱意が、他の人からうぬぼれとか、ごまかしととられてしまうこともあります。
集団の中では、人に気に入られようとする傾向があります(特に自分に反応を示してくれる人に対して)。
U 支配型(コントローラー)
物事を自分の思い通りに進めることを楽しみとしています。
行動的で、独立心が強く、野心に富んだ自信家に思えます。
たいてい主導権を握り、自分から進んで、いとも簡単に決定をくだします。
自分に向けられる意見や注意に対しては敵対的な反応を示し、自分を支配する人には憤る傾向があります。
V 支持型(サポータータイプ)
自分の得にならないことでも、人を助けたがります。
他の人の気持ちを思いやり、したがって押しつけがましいところがなく、寛大です。
たいてい、期待に沿った行動を行い、課題をやり遂げられるという保証をほしがり、人からの注意を気にします。目標の設定や計画に対する関心はあまり強くありません。
W 分析型(アナライザータイプ)
問題を解決することが好きで、アイディアや着想を目指します。
行動に移す前に、時間を十分にかけて、状況の分析を徹底的に行います。
集団の中では、規則正しく、綿密で系統だった行動をはっきりと定め、最後まで粘り強く、誠意を持ってやりとげます。
きちんとした法則と手段が決まっていると、一番良い成果を上げることができ、混乱した状態はひどく嫌います。
くり返しになりますが、タイプは個性ですから優劣はありません。
「そんな傾向があるかもしれないなぁ」ぐらいの理解で十分です。
大事なことは、自分自身から一歩離れて、自分の姿を第三者的な目で見てみようとすることです。自分を少しなりとも客観視することで、自分自身の軸のようなものが見つかり、そのことが、子どもをありのままに「認める」心のゆとりを生んでくれるからです。
特にお母さん方は、「母子一体化」が起きやすいので、知っておくと良い技術です。
また部下教育に全力投球している熱血型の上司の方も知っておくと良いでしょう。
「見守る」ための心のありかた
次に「2.見守る」ですが、これは本当に言葉の通りです。子どもが子どもなりに活動している様子を、こちらから操ろうとか止めようとか思うことなく、ただただ見守ることです。目を離すことなく、心を離すことなく、見守るのです。
ただし、この「見守る」というのも、「守る」という心が親には当然備わっているために、知らず知らずのうちに「監視」になってしまうということを理解しておくことがポイントです。
言い切ってしまうなら、親の自然な感情に任せている限り、子どもへの目線は「監視」になって当然なのです。
かけがえのないわが子がそこにいて、目を向けるだけの親としての気力と時間がある限り、気持ちも体もわが子の方に向かうのは当たり前のことです。
で、向けば向くほど「怪我してほしくない」「他の人に迷惑かけて欲しくない」「せっかくなら意味のある時間を過ごして欲しい」など、大人のリスクヘッジや配慮や欲などが、飛び交うわけです。
保護者としてのこうした気持ちの動きを理解した上で、口や手を出したくなる気持ちを静めて見守ります。そんな成長をするんだ、そんなことが出来るようになったんだ、と温かく見守ります。
すると、子どもは安心して自分を発揮できるようになります。
「待つ」とは結果を求めない心のこと
最後に「3.待つ」。
本人自身の行動や心の動きを、待ちます。言い換えれば、結果を求めないということです。子どものあるがままを「認め」、本人なりの成長を「見守り」ながら、さらに本人を信じて待つのです。
受験に限らず、成長の過程では様々な「〆切」がやってきます。〆切があれば、「間に合わせなければ」という思いが顔を出しますから、手を引っ張りたくなります。そこをいかに待つか、待てるかが勝負です。
あと伸びする子というのは、待ってきてもらえた子です。主導権を自分に託してもらえてきた経験が、自分の足で歩く力を育ててくれるからです。
だから、待つ。「待つ」と決めて、待ちます。親としての訓練だと思って待ちます。
続けているうちに、ふっと心が軽くなる時がやってきます。「あ、この子は大丈夫だな」という確信を持つことができる時がやってきます。
心のゆとりが訪れるのです。
その時お子さんはきっと、自分の好奇心の赴くままに熱中し、親の予想を超えた成長を見せてくれることでしょう。
次回は、忙しい毎日の中でも実践できる「時短子育て術」についてお話ししたいと思います。
引用元:
子育てに「心のゆとり」を取り戻す3つのポイント(WEDGE Infinity)