急増する「梅毒」…20代女性などで増加 放置すると脳や心臓に合併症も 早期検査を

性行為などで感染する梅毒の患者が急増している。

 症状に気づかずに進行してしまうことが多く、放置すると脳や心臓に合併症を引き起こすことがある。国立感染症研究所によると、平成29年の患者報告数は現行の集計となった11年以降で初めて5千人を突破。専門家は注意を呼びかけている。(油原聡子)

 性器や口などにしこり・ただれ

 梅毒は、梅毒トレポネーマという細菌が原因で起きる感染症だ。主に性交渉によって感染する。

 感染後10日から3週間ほどで、性器や口など病原体が侵入した部位に、コリコリとしたしこり(硬結)やただれ(潰瘍)が起きる。治療しなくても症状は数週間で消えてしまう。

 東京都立駒込病院(東京都文京区)の今村顕史・感染症科部長は「ほとんど痛みがないことも多く、局部の見えにくい場所に症状が表れた場合には、気づかない可能性は高い」と話す。

 出現期間には個人差があるが、3カ月以上たつと、手のひらや足の裏など全身に発疹ができることがある。治療しなくても数週間〜数カ月で消えてしまうが、症状がないまま全身で進行してしまい、その後、心臓や神経などに異常が表れることも。「進行すると、失明したり、認知症のような症状が出たりすることもあります。早期発見が大切」と今村医師。

 治療には、ペニシリン系の抗生物質を数週間から2カ月程度服用する。早期に治療すれば完治するが、感染からの経過が長いと長期の治療が必要だ。

 昨年は初の5000人突破

 感染研によると、29年の梅毒の患者報告数(速報値)は5770人と、現行の集計になった11年以降初めて5千人を突破した。都道府県別では、東京が1771人と最多で、大阪833人など都市部で広がっている。

 特に20代を中心とした女性の間で増加。感染が広がっている年齢が妊娠・出産の時期と重なることから、危惧されているのが「先天梅毒」だ。妊娠中の女性が感染すると、流産や早産などの原因になるだけでなく、赤ちゃんに先天性の障害を引き起こすことがある。

 産婦人科医で、日本家族計画協会の北村邦夫理事長は「梅毒が拡大している理由は分かっていない」と話す。「SNSの利用など風俗業の業態が変化し、病気の検査をしていないケースが増えた」「梅毒蔓延(まんえん)国から持ち込まれている」など諸説あるという。

 北村理事長は「梅毒はかつては大変恐れられていたが、過去の病気という認識が強かった。最近はメディアなどでも取り上げられ、医療従事者が気づくようになったのも大きい」と指摘。「世界で標準治療とされる注射薬が日本では使えないことが、感染を加速させてはいないだろうか」

 この注射薬は日本で使用できた時期もあったが、過去に重篤な副作用が報告されたことなどから使えなくなった。しかし、1回の投与で済むため、治療長期化による脱落を防ぎ、感染防止に歯止めがかかるとして、国内での“使用解禁”も期待されている。

 完治しても再感染

 予防のためにはどうしたらいいのだろうか。

 梅毒は、感染した部位と粘膜や皮膚が接触することでうつる。口腔(こうくう)性交や肛門性交により、口内や肛門、直腸に感染することもある。今村医師は「コンドームの使用が有効ですが、コンドームが覆わない部分の皮膚で感染が起こる可能性がある。症状に気づいたら早期に医療機関を受診してほしい」と話す。

 感染が分かったら、パートナーにも検査を受けてもらうことが大切だ。医療機関で調べられるほか、HIVの検査と一緒に匿名・無料でできる保健所もある。厚生労働省の研究班が提供するインターネットサイト「HIV検査相談マップ」では、検査や相談できる機関を探すことができる。

 今村医師は「梅毒は治療で完治しても、また感染してしまう。パートナーと一緒に治療を進めてほしい」と話している。


引用元:
梅毒患者が20代女性を中心に増加 妊娠中の感染で赤ちゃんに障害の可能性も(livedoor)