産後クライシスの本当の意味を解説する記事でよく、子どもが0〜2歳の時期の離婚が一番多いというデータを紹介されますが(※1)、そう聞くと「相当の人たちが産後に離婚するのでは……」と、必要以上に恐れてしまいがちです。

産後の夫婦関係の危機は、恐ろしいだけのものなのでしょうか?

実は結婚した人たちの中で、離婚をする人の割合はそんなに多くはないのです。

今回は、“離婚率の数字のウソ”について心理学博士で『出産・育児ママのトリセツ』の筆者がお話しし、産後の危機についての理解を深めましょう。

山本ユキコ


【INDEX】
▼「3組に1組が離婚」は間違い!?
▼配偶者がいて、離婚する人の割合は1,000人中5名程度
▼産後クライシスで「離婚する夫婦」は多いのか?

▼「3組に1組が離婚」は間違い!?

よく、“3組に1組が離婚する” と言われますが、これは国内で一年間に離婚した人と、結婚した人の数を単純に割った指標です。

ちなみに、平成28年度の婚姻数は、620,531組。離婚は、216,798組です(※1)。これを単純に割って約3組に1組が離婚となります。

しかし現在の日本は少子高齢化で、離婚する可能性の高い中年以降の世代の人たちの数と、結婚する可能性の高い若年の人たちの数を考えると、離婚する可能性のある年代の人たちの分母の方が圧倒的に多いのです。

そのために、このような数字になっているだけです。

関連記事:アナタは大丈夫?「産後クライシスになりやすい夫婦」の特徴3つ



▼配偶者がいて、離婚する人の割合は1,000人中5名程度

実際に、結婚している人たちの中でどのくらいの人が離婚しているかという 『有配偶者に対する離婚率』という指標を見ると、離婚する人たちは1,000人中5人に激減します(※2)。

結婚している人たちが離婚する割合は、約0.5パーセントです。

1パーセントにも満たない数で、初めてデータを見たときは、少なすぎて正直びっくりしました。



▼産後クライシスで「離婚する夫婦」は多いのか?

ただ、一人親に育てられている子どもの数は、もう少し多いようです。

福岡市のデータではありますが、ひとり親家庭の実態調査で、未就学児の母子家庭・父子家庭の子どもの未就学児中での出現率(ひとり親家庭の子どもの数を未就学児の数で割ったもの)は5%になっています(※3)。

産後の危機を迎え離婚をする人たちは離婚する人たちの中では一番多く、そう言う意味ではクライシスです。

ですが、離婚をする人自体の割合は多くなく、約0.5〜5%程度の間になるでしょう。決して多くはありません。



もちろん、結婚していても仮面夫婦や熟年離婚の予備軍といった危機的な状況の夫婦もいますが、多くの家族にとって、産後の危機は、家族も夫婦も成長するための試練の時期なのです(※4)。

危機はチャンスの言葉通り、産後クライシスは、今までの“恋人関係の延長”のような夫婦関係を、“子どもを育てる夫婦” に変えるチャンスでもあるのです。

ひどいDVの場合はもちろん別ですが、ここで離婚をして、ほかの人とやり直しても、また出産のような大きな生活の節目に、同じようなクライシスの繰り返しになるだけかもしれません。

離婚は最後の選択肢にして、産後の危機を“家族の成長のためのチャンス”といったプラスのイメージを持ってみてください。


引用元:
「3組に1組が離婚」は違った!? 産後クライシスで離婚するのは何%?(It Mama)