あけましておめでとうございます。2人の子育てで余裕のない日々を過ごしていますが、今年もなんとかこちらのコラムを更新していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

「べき論」では逆効果

 前回の「 息子のイヤイヤ期と格闘しています 」という記事に様々なご意見をいただき、ありがとうございました。イヤイヤ期で参っている時に、「今だけだから」「すぐに過ぎ去って懐かしくなるよ」などの言葉をかけられても救いにならなかった、という経験を書いたところ、「では、どういう言葉をかければいいのか」というご質問をいただきました。それについて、個人的な意見を書いてみたいと思います。

 救いにならなかった言葉の代表は、「親になったのだから仕方ない」というようなものでした。好きで親になったわけだし、子供に対して責任があることは百も承知です。それでも毎日、許容量を超えるから愚痴を言っているので、わかりきった「べき論」は逆効果でした。

 「いずれ懐かしくなる」「子供が頼ってくれるのは今のうちだけ」という励ましの言葉も同様でした。それも分かってはいるけれど、先のことまで考える余裕がないのです。逆に、人ごととして見られているように感じてしまいました。

 「あなたに似たのでは」「あなたが働いているからでは」という言葉もかけられました。自分と子供の性質や毎日の生活を細かく理解している人が言うなら参考になるのですが、あまりよく知らない人に「自己責任だ」と言われても 腑ふ に落ちませんでした。

 このように書くと、やはり「では、どう声をかければいいの?」と思われますよね。

うれしかった辛坊さんの一言

 私は、自分のことのように感じていないことに「うまいことを言おう」と考えない方がいいのではないかと思います。第1子のころは「うちの子は普通じゃない、大変な子なのではないか」と不安で、心に余裕を持つことができませんでした。それが、第2子になるとそれなりに昇華して、「ネタ」にできるようにもなりました。愚痴を言っている本人がどこまで受容しているかで、かけられる言葉への感じ方が異なるのです。

 私が個人的に言われてうれしかったのは、前回紹介した児童精神科ドクターの「イヤイヤ期があるのが正常」という言葉と、キャスターの辛坊治郎さんがかけてくれた「イヤイヤ期が激しい方が大物になるよ」という言葉です。

 もちろん、イヤイヤ期の強さと将来大物になるかどうかについては、「エビデンス」があって言っているわけではないと分かっています。ですが、「この苦労も無意味ではないかも」と思うだけで救いになりました。

「大変なんだね」で十分です

 そんな気の利いた言葉や救いになる言葉をかけるのは、実際には簡単ではありません。「大変なんだね」と言って愚痴を傾聴してもらえるだけで十分ありがたいと思います。

 みなさんが困っているとき、かけられてうれしかった言葉や、救いにならなかった言葉はどのようなものですか? ぜひ教えてください。(宋美玄 産婦人科医)


引用元:
育児に悩んだ時 うれしい言葉と救いにならない言葉(読売新聞)