千歳市信濃の産婦人科医院、マミーズクリニックちとせの島田茂樹院長(48)が中心となって研究し執筆した論文が、このほど発行された「米国生殖免疫学会誌」に掲載された。胎児の染色体に異常がないにもかかわらず発生する流産の原因を究明した内容。米国で複数の専門家による査読を経て編集されている権威ある学会誌で、開業医による研究論文の掲載は珍しく、島田院長は「これをきっかけに今後さらに研究が進むと、流産の防止につながるのでは」と期待する。

 論文名は「染色体正常流産の子宮脱落膜におけるM1マクロファージの増加」。神戸大学との共同研究で、島田院長が研究計画から執筆までを担った。

 流産の7割は、胎児の染色体異常が原因で起きる。しかし3割の胎児には異常がなく、染色体正常流産と呼ばれる。島田院長はこの流産を経験した母親の子宮内には免疫細胞の一種である「M1マクロファージ」が増加していることを初めて突き止めた。子宮内のM1が胎児発育に障害を与え、流産をもたらす―とする内容だ。

 マクロファージには流産につながるM1と、妊娠を維持する働きを持つM2の各タイプがあり、子宮内の化学物質サイトカインの種類や量によりそのバランスが決定される。島田院長によると、研究成果をさらに発展・実用化し、M2が増えるようサイトカインをコントロールすれば、染色体正常流産を防止できる可能性があるという。

 島田院長は2002年、マクロファージの研究で北海道大から博士号を授与された。これまでに35本の英文論文を執筆しており、そのうち約30本が流産に関する内容。今研究に当たっては同クリニックに通院する流産経験のある25人を含め、60人の女性から協力を得た。子宮内で胎児を育むベッドとして機能する脱落膜と子宮内膜を採取して調べた。

 研究成果は今月2、3両日に日本大学で開催された第32回日本生殖免疫学会学術集会でも発表した。島田院長は「15年、20年と年数はかかるかもしれないが、新たな研究の方向性を示すものになるのではないか」と、成果が今後一層の研究進展につながることを期待。協力した女性たちに対しても「将来、流産を防ぐことにつながる研究に力を貸していただいた。皆さんの協力がなければこの仕事はできなかった」と感謝している。研究の詳細は来年2月3日にANAクラウンプラザホテル千歳で開かれる第9回千歳臨床医学研究会でも発表するという。

引用元:
マミーズクリニックちとせ島田院長の論文 米学会誌に掲載(苫小牧民報)