妊娠中になりやすい子宮脱の原因や症状、治し方についてまとめました。産後も発症しやすいので、出産を終えたあとも油断することができません。手術治療の他、ペッサリー治療もありますし、無事に出産することも不可能ではありません。体操など予防方法もお伝えします。









この記事の監修ドクター
むさしのレディースクリニック院長 大田昌治先生

武蔵境駅北口より徒歩2分の助産師がいる産科・婦人科クリニックです。
いつも患者様に寄り添っていける産婦人科のかかりつけ医でありたいと思っています。女性のトータルライフをサポートしていきます。

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妊娠や出産がきっかけに……何が原因で子宮脱になるの?
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妊娠中や産後に発症することが多い子宮脱について、予備知識を把握しておきましょう。
そもそも子宮脱とは
子宮脱とは女性にとって本当に辛い病気で、子宮が膣の外に出てしまう病気です。子宮が正しいポジションから下がってしまっても、膣の中に留まっていれば子宮下垂と呼んで区別されます。子宮下垂が進み、子宮が部分的に、あるいは全部身体の外に出てしまうと子宮脱と診断されます。

子宮脱が起こる時、他の臓器も引きずられるようにして一緒に降りてきてしまい、膣ごと裏返ってしまうケースも。子宮脱も直腸瘤(ちょくちょうりゅう)、膀胱瘤(ぼうこうりゅう)、膣断端脱(ちつだんたんだつ)と同じ骨盤臓器脱の1つです。
産後も要注意!子宮脱になりやすい人の条件
子宮脱が起こる原因は個人差がありますが、骨盤底が傷ついたり働きが衰えてしまうせいで引き起こされます。骨盤底は子宮、膀胱、直腸など骨盤内部の臓器を支える役目があるので、本来の機能が果たされないと臓器を支え切れなくなってしまいます。妊娠、出産も直接的なきっかけになります。子宮を支える筋膜や靭帯は加齢と共に緩む傾向がありますが、妊娠中や出産で一気に伸びてしまうと子宮脱が起こりやすくなります。

また、自然分娩の時、産道を通る赤ちゃんがママの骨盤底を傷つけてしまい、子宮脱を発症するケースも少なくありません。妊娠、出産以外では、排便時のいきみ、肥満体型、慢性的な咳も原因になります。強い腹圧がかかるので、長期スパンで重いものを運ぶ仕事に就いている女性も、いつ子宮脱が起こっても不思議ではありません。
妊娠中の子宮脱……無事に出産できる?
子宮脱は妊娠中も発症率が高い病気です。もし出産する前に子宮脱になったら、赤ちゃんを産むことはできるのでしょうか。実際に子宮脱になってしまったママは不安な気持ちでいっぱいになってしまうかも知れませんが、妊娠中に子宮下垂になることは珍しくありません。定期的に病院に通っていれば早い段階で見つかるので、子宮脱まで症状が進む前に対応することができます。

子宮脱が起こってしまっても、赤ちゃんを無事に産むことは不可能ではありません。治療方法や帝王出産で産むかどうか……など医者に相談しましょう。
子宮脱の症状や治し方
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もし子宮脱になってしまったら、どのような症状が現れるのでしょうか。治療方法もチェックしておきましょう。
自覚症状がないことも……気をつけたい症状
子宮脱は子宮下垂が悪化して起こります。初期の子宮下垂だと自覚症状がないことも珍しくありませんが、子宮脱になると明らかな違和感を覚えるはずです。入浴中など、股の間を触った時、ピンポン玉のようなものに触れ、驚いて病院に行くケースも。そのまま放置して病状が進むと、膣から飛び出してしまった子宮が外陰部や太ももにあたるので、異変に気づくことができるでしょう。

排尿障害、排便障害も引き起こすので、おしっこの頻度が多くなりおもらしをしてしまうこともよくあります。便秘や腰痛、性交痛で辛い思いをする患者さんも少なくありません。こじらせて膀胱炎や腎臓病になる可能性もあるので、異常を感じたらすぐに病院を受診して下さい。
子宮脱かどうか調べる検査方法
股の間にいつもと違う症状が現れたら、婦人科で診てもらいましょう。妊娠中、産後すぐはかかりつけの産婦人科でOKです。問診で今起こっている症状、いつから起きたのか、妊娠&出産歴などを訊かれるので、あらかじめメモを持参して行くとスムーズに答えやすいかも知れません。

次に内診では子宮がどこまで下がっているのか、現在のポジションを調べます。いきむよう指示されることもありますし、膣の中に器具を入れることもあります。その他、超音波検査で膀胱や卵巣など他の臓器を詳しく調べることもあります。

さらに多角的な検査を行い、子宮脱かどうか診断を下します。子宮脱の診断が確定したあとは、検査結果をもとに治療方法が決定されます。
手術ではなくペッサリー治療が行われることも
子宮脱の症状が深刻な場合、手術方法にも色々ありますが、一般的には膣式子宮全摘術が行われることが多いようです。膣から器具を挿入し、膣などを支える筋膜や靭帯を補強する手術です。開腹手術ではないので、大きな傷が残ることもありませんし、身体にかかる負担も比較的軽くて済みます。

その他、膣壁と膀胱の間に臓器を支えるメッシュを入れる経膣メッシュ手術、保険が使える腹腔鏡下仙骨膣固定手術も。メリット、デメリットは手術方法によって異なるので、医師と慎重に相談する必要があります。

また、症状が軽ければ手術ではなくペッサリーを膣の内部に挿入し、子宮を本来のポジションに戻す治療方法が選択されることもあります。ただしペッサリーは長期間挿入し続けることはできないので、定期的に交換するために受診しなければなりません。
予防は可能?子宮脱に効く骨盤底筋体操もおすすめ
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子宮脱は対策次第で予防することができます。
びっくりするほど簡単な骨盤底筋体操のやり方
子宮脱にならないよう、予防効果の高い骨盤底筋体操に励みましょう。やり方はとても簡単です。立っている状態でも仰向けになった状態でも構わないので、膣と肛門を上半身の方に引っ張るようにして、お尻の穴を引き締めて下さい。そのままゆっくり5秒数え、力を抜きます。この動きを何回か繰り返すだけで、子宮を支える筋肉を鍛えることができます。
妊娠中も体重オーバーはNG
体重が重過ぎると腹圧がかかるので、子宮脱になるきっかけになることがあります。妊娠中も体重が増えすぎないよう注意しましょう。既に子宮下垂が起きている時も、太っている女性ほど症状の進行が早くなります。

運動対策と食事対策で適正体重まで戻すことが、至急脱予防の効果的な対策の1つです。ただし、子宮が下がり始めている時は身体を激しく動かすことで一気に病状が進む可能性があるので、無理は禁物です。
普段の生活習慣も子宮脱予防に効果的
子宮脱になるのを予防するためには、普段から生活習慣を改める必要があります。激しい咳も腹圧がかかり子宮脱の原因になるので、風邪をひかないよう体調を整えて下さい。便秘で強くいきみ、排便時に子宮脱になることもあるので、腸内環境を整える対策も欠かせません。ひどい便秘や喘息の時は、医師に相談してみて下さい。
まとめ
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女性が妊娠中や産後になりやすい子宮脱について、情報を紹介しました。複数の原因が考えられますが、子宮を支える筋肉が衰えることもきっかけになるので、骨盤底筋体操に励み予防することも大切です。子宮脱治療は深刻な場合手術が行われますが、軽ければペッサリー治療で済むことも。いずれにしても、早期発見が大切なので、少しでも異変に気づいたら病院で診て貰いましょう。


引用元:
【医師監修】子宮脱は妊娠中や産後になりやすい!原因や治し方は?(ニコニコニュース)