2012〜14年に全国4病院で、240人に遺伝性の乳がん・卵巣がんの発症に関わる遺伝子の変異が見つかり、発症予防のために約1割に当たる26人が乳房切除、約4分の1の62人が卵巣・卵管の摘出手術を受けていたとの分析結果を、研究団体「日本HBOCコンソーシアム」が国際専門誌に発表した。国内でこうした検査の状況や患者の選択が明らかになるのは初めて。【下桐実雅子】
遺伝性の乳がんや卵巣がんは、米女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが乳房の予防切除をしたことで関心が高まった。同団体は16年から、変異があると乳がんや卵巣がんになる可能性が高まる「BRCA」という遺伝子検査を受けた人の情報を集める事業を本格化し、先行実施していた4病院が受診者の同意を得て登録したデータを分析した。
遺伝子検査を受けたのは963人で、平均年齢は47歳。がんになった親族がいる人が多かった。このうち変異があったのは240人。家系の中で最初に検査を受けた人だけで分析すると、2割に変異が見つかった。変異のある人は二つ以上の乳がんを経験している人も目立ち、最初の乳がん発症の平均年齢は約40歳と若かった。
240人のうち、乳房の予防的な切除を受けたのは26人(平均年齢43.8歳)。いずれも乳がん経験者で、発症していない側の乳房の切除だった。卵巣・卵管の摘出手術は62人(同49.2歳)が受けており、乳がん経験者が多かった。
発症予防の手術については、厚生労働省研究班がまとめた診療指針で、乳房は本人が希望した場合に「実施を考慮してもよい」とし、卵巣は適切な体制の下での実施を推奨している。BRCAに変異がある女性の70歳までの発症リスクは、乳がんが49〜57%、卵巣がんが18〜40%とされる。
がん研有明病院の新井正美・遺伝子診療部長は「日本の実態が把握できつつある。数年後には、予防切除した人の経過なども分かってくるだろう」と話す。
引用元:
遺伝性乳がん 1割が予防切除 4病院、遺伝子変異判明(毎日新聞)