12人に1人の女性が罹患(りかん)すると言われる乳がん。手術後の傷口が気になり「温泉に行けない」などと悩む患者が多いなか、人工乳房を手がける新潟市東区の「レリエンスメディケア」が「温泉用人工乳房」を開発、販売を始めた。入浴時にも目立たないよう工夫された装着型人工乳房で、小林勝広社長は「大きな病気を経験した患者が少しでも以前のような生活を楽しむ手助けになれば」と思いを込める。【南茂芽育】


 「誘いを受けてもずっと断っていた温泉旅行に行ってみたい」。きっかけは乳がんを患った経験があるなじみ客の60代女性の一言だった。この女性は術後すぐの時には友人からの誘いにも「傷口を見られた時、相手に気を使わせるのでは」とためらい、参加を断ってきた。手術から10年がたち再発率も下がるなか、気持ちが安定したことで以前のような生活への思いが高まったという。

 しかし普段付けている通常の人工乳房には問題があった。人工物のため、温泉に入っても周りの肌のように赤みを帯びず、白く目立つのだ。シリコン性の人工乳房は水に弱く、入浴時は専用の接着剤を肌に塗る煩わしさもあった。

 その悩みを聞いた小林さんは「そんなニーズがあったとは」と驚き、開発に着手。シリコンそのものに赤い染料を混ぜ、入浴時も自然な発色に見えるよう工夫を重ね、数十分程度であれば水にぬれても取れない、粘着性の高い吸盤性の乳房をつくり出した。温泉専用乳房の開発は全国初という。ブラジャーなしでも左右のバランスが良く見えるように、あえて年齢に応じて垂れ下がった乳房を再現した。

 今でこそなるべく乳房を残す手術法が増えたが、約10年前までは転移を避けるため全て摘出する方法が主流。その頃に乳がんを経験した50、60代女性からは「何十年も温泉に行けていなかったが、大きな傷を隠せることで心の傷も癒やされた」と喜びの声が上がっているという。

 価格は15万円(税別)。温泉用人工乳房は新潟駅前の個室サロンで購入可能。女性スタッフも常駐している。問い合わせは025・278・9123。

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 県内の医師らによる乳がん患者支援団体「新潟はっぴー乳ライフ」によると、女性の県民の乳がん罹患(りかん)数は年々増加。2012年の女性の県民のがん罹患(りかん)割合は乳がんがトップで17.6%にも上る。


引用元:
温泉用人工乳房開発「心の傷も癒えた」 新潟(毎日新聞)