妊娠中の女性にとって、薬の服用は、おなかの赤ちゃんへの影響が心配だ。できることなら避けたいところだろう。英国ブリストル大学などが行った研究によると、母親の妊娠中の抗うつ薬使用が、生まれてくる子どもの自閉症リスクに関係するという。研究の詳細は、7月19日発行の医学誌「BMJ」(2017;358:j2811)に掲載されている。






妊娠中の抗うつ薬服用で子どもの自閉症リスクが1.45倍に

 研究グループは、2001〜11年にスウェーデンのストックホルム在住で、精神的不調がなく抗うつ薬を使用していない母親、精神的不調があり妊娠中に抗うつ薬を使用した母親、精神的不調はあるが妊娠中に抗うつ薬を使用しなかった母親―のいずれかから生まれた4〜17歳の子ども25万4,610人を対象に、母親の妊娠中の抗うつ薬使用が与える子どもの自閉症への影響について検討した。対象のうち、自閉症の子どもは5,378人だった。

 自閉症と診断された人は、精神的不調歴はあるが妊娠中に抗うつ薬を使用しなかった母親から生まれた子どもでは1万2,325人中353人(2.9%)だったのに対して、抗うつ薬を使用した母親から生まれた子どもでは3,342人中136人(4.1%)だった。解析の結果、妊娠中に抗うつ薬を使用した母親から生まれた子どもが自閉症になるリスクは、抗うつ薬非使用の母親から生まれた子どもに比べて1.45倍高かった。ただ、このリスク上昇は、知的障害を伴わない自閉症に限られた。

 研究グループは、今回の結果を振り返り、「母親の妊娠中の抗うつ薬使用が、生まれてくる子どもの自閉症リスクに関連する」としながらも、「発症頻度そのものは低く、仮に妊娠中に抗うつ薬の服用を控えたとしても、子どもの自閉症の発症リスク抑制につながるのはごくわずかにとどまるであろうことは、留意しておく必要がある」とコメントしている。




引用元:
気になる、妊娠中の抗うつ薬服用 子どもの自閉症リスクに影響(kenko 100)