◇島根大病院、山陰で初

 島根大医学部付属病院は23日、遺伝性乳がん・卵巣がん(HBOC)の30歳代の女性に対し、発症前に行うリスク低減卵巣卵管切除術(RRSO)を今月、山陰で初めて実施したと発表した。米女優アンジェリーナ・ジョリーさんが、遺伝的に乳がんや卵巣がんになりやすいとして、乳房切除と卵巣摘出を行ったことで注目され始めた手術。同院では、遺伝子検査からカウンセリングを経て切除までを行う体制が整った。(佐藤祐理)

 同院によると、乳がんと卵巣がんのうち、特定の遺伝子BRCA1、BRCA2のどちらかに病的変異があるものをHBOCという。両親の一人がHBOCなら、子どもも同様になる可能性は50%あり、血縁者にも、卵巣がんや乳がんが多くみられるのが特徴だという。

 HBOCの場合、女性なら卵巣がんになる可能性は通常の10〜40倍、乳がんになる可能性は6〜12倍になると考えられている。男性でも乳がんにかかる可能性は1・2〜6・8%あり、前立腺がんや膵臓すいぞうがん発症の可能性が高いとする報告もあるという。

 同院では、2013年から血液検査で、HBOCの原因となる遺伝子変異の発見が可能になった。血縁者の病歴を知ることが、HBOCの発見につながるため、臨床遺伝専門医4人がカウンセリングを担当。これまでに、5、6人が検査を受けた。

 HBOCとなる遺伝子の異常が見つかった人には、乳がんのリスクを減らすため、18歳からは乳房検診を、25歳頃からは磁気共鳴画像装置(MRI)検査を受けて、発症前に乳房切除を検討するよう勧めている。

 卵巣がんのリスクについては、出産後の35〜40歳に、卵巣や卵管を切除するよう推奨している。

 同院では6月、RRSOを行える体制が整った。初めてRRSOを受けたのは、乳がんの手術を受けた山陰地方の女性。家族の病歴などから、発症の可能性を考慮し、他院で遺伝子検査やカウンセリングを受けた後、同院での手術を決めたという。

 一般的に卵巣を切除すると更年期の症状が表れることもあるため、同院はホルモン補充療法を組み合わせながら対応する。

 検査やRRSOなどの費用は保険が適用されず、全て自費となる。3週間程度で結果が出る遺伝子検査は約20万円、1週間程度の同検査は約24万円かかる。遺伝カウンセリングは初回が5400円で、2回目以降は4320円。手術・入院は約70万円になる。

 同学部産科婦人科学講座の京哲教授は「治療法を知ってもらい、カウンセリングを受けながら患者自身が判断するきっかけにしてもらいたい」と話した。

 問い合わせは同院地域医療連携センター(0853・20・2061)。


引用元:
乳・卵巣がん 発症前切除 島根 (読売新聞)