妊娠を望む人が体調管理をしたり、産婦人科に通うなど妊娠するための活動全般を指す言葉「妊活」。晩婚、晩産化などを背景に、広く世の中に知られるようにはなっていますが、ひと口に妊活と言っても、そのスタイルは人それぞれ。ミキハウスでは過去2回、その実態を知るためミキハウスベビークラブ会員のみなさまにアンケート調査を行ってきましたが、本年度も「妊活アンケート2017」として調査を実施いたしました。

 そこで本記事では、今回調査をしてわかった妊活の実態を見ていきたいと思います。

[調査期間]2017年5月18日〜5月28日
[調査対象]ミキハウスベビークラブ会員のうち、お子さんのいる方、現在妊娠中の方
[調査方法]会員向けインターネット調査
[有効回答件数]7794

●じっくりと妊活に取り組む人が増えています

 今回の調査で「妊活をしましたか」の質問に「はい」と答えた人は56.1%。2014年の58.5%よりやや低くなりましたが、半数以上の方はなんらかの妊活を経験しているようです(【図1】参照)。なお妊活をスタートした年齢は平均31.3歳(前回=平均30.25歳)、妊活期間は平均14.4か月(前回=平均11.34か月)となりました。

 妊活を始めたきっかけについては「年齢が気になりはじめたから」が一番多く62.0%(前回=64.4%)。次に「まわりの友人や親類が子どもを産みはじめたから」が25.3%(前回=25.1%)と続き、前回調査と同様の傾向となりました(【図2】参照)。

 妊活を始めたときに取り組んだことについて複数回問可で聞いたところ、上位に挙がったのは、「基礎体温をつける」86.2%(前回=60.6%)、「葉酸などの栄養素を積極的にとる」66.0%(前回=31.2%)、「産婦人科などを受診する」58.6%(前回=30.5%)、「カラダを冷やさないようにする」57.8%(前回=35.9%)、「食生活に気をつける」41.9%(27.5%)など。いずれも前回調査と比べて、大幅にアップしていることから、2年前に比べてよりしっかりと妊活に取り組む女性が増えてきた様子がわかります(【図3】参照)。

 また、今回のアンケート調査では新たな項目として、妊活をする上で参考にしていた情報源を聞いてみました(【図4】参照)。その結果は「インターネット(ネットニュース、ブログ、SNS等)」が81.6%でトップ。次いで「雑誌や書籍など出版物」が36.4%、「信頼している医師」が34.5%となりました。最近は、当サイトをはじめとして妊活に関する情報がわかりやすくまとまったホームページやブログもあり、ほとんどの妊活経験者がインターネットで妊活に関する情報を入手しているようです。一方で、インターネットでは“正しくない情報”も散見されますので、信頼できるメディアを見極める力も必要になってくると言えそうです。

 妊活にかかった費用は「0円」11.8%(前回=19.2%)、「1円〜10万円」54.9%(前回=57.2%)、「11万円〜50万円」12.6%(前回=8.9%)、「51万円〜100万円」6.5%(前回=5.2%)、「101万円〜150万円」5.1%(前回=3.8%)、「151万円〜300万円」6.1%(前回=3.4%)、「300万円超」3.1(2.4%)という結果に(【図5】参照)。依然として妊活経験者の半数以上が10万円以内の妊活を行っていますが、全体的に妊活にかかる費用は高額化する傾向があるようです。

 妊活経験者の中で、病院での不妊治療を行ったのは47.0%(前回=33.9%)。前回調査に比べて約13%増となり、より多くの方が不妊治療に踏み切るようになっているようです(【図6】参照)。

 不妊治療の内容もより本格化傾向にあるようです。「タイミング法」と答えた人は88.1%(前回=88.8%)。さらにその先のステップを経験した人は、「人工授精」48.4%(前回=36.4%)、「体外受精」32.9%(前回=26.8%)、「顕微授精」26.7%(前回=19.6%)となるなど、本格的な不妊治療を行った方が大幅に増える結果となりました(【図7】参照)。

●妊活は夫婦一緒に取り組むもの 94.6%の夫が妊活に協力的

 続いては妊活中に感じたことについての質問。「妊活中につらかったこと、ストレスを感じたことはあったか」との項目では、「はい」と回答した人が71.8%(前回=75.9%)に上りました(【図8】参照)。

 つらさやストレスの内容については、一番多かったのが「生理がきたとき(妊娠していないことがわかったとき)」で90.4%(前回=85.2%)。次いで、「妊活中なのに『赤ちゃんはまだ?』とまわりの人に言われたとき」39.6%(31.1%)、「仕事との両立が難しかったとき」33.9%(24.2%)、「経済的負担を感じたとき」31.7%(24.0%)、「毎日基礎体温をつけることにわずらわしさを感じたとき」28.9%(30.8%)でした(【図9】参照)。

 また、「友人が妊娠したとき」、「周りの妊娠報告」など、周囲と比べることでストレスを感じる人も目立ちました。周囲の何気ない一言、仕事との両立、経済的な問題など、妊活をする女性にとっての問題はたくさんあるようです。

妊活に夫は協力的であったかを聞くと、94.6%(前回=92.4%)が「はい」と回答。また、「妊活中に励まされた言葉はありますか?」という質問には、夫からの「焦らなくて大丈夫。無理しないで自分たちのペースで」や「一緒にがんばろう」、「体がしんどいのは自分にはわからないし、あなたの体が一番大事」、「子どもがいなくても2人で暮らせることが幸せだよ」といった言葉に励まされたという人も多くいました。総じてアンケートからは、ほとんどの夫が妊活には協力的で、夫婦で一緒に妊活に取り組んでいる様子がうかがえます。

 妊活を公表するか否かについての意見も様々。「妊活していることを友人や家族に知らせたか」という質問には、60.0%(前回=55.2%)が「はい」、残りの40.0%が「いいえ」という結果に。「はい」と答えた人の理由は、「同じような境遇の人と情報交換ができるから」、「アドバイスをもらうため」など。「いいえ」の理由は、「気をつかわれたくない」「恥ずかしい」「なんとなくいいづらかった」という意見などでした。前回の調査と比べると、徐々に周囲に語れるテーマになってはきているものの、まだまだ周囲にはオープンにできない風潮はあるようです。

 さらに「妊活が広がることで、日本の社会がよくなるか」についても聞いてみました【図10】。

「とてもそう思う」、「そう思う」、「少しそう思う」を含めた「よくなる」派は、74.6%(前回=75.9%)という結果に。「どちらとも言えない」21.3%(19.4%)、「あまりそう思わない」、「そう思わない」、「まったくそう思わない」と答えた人の割合4.1%(4.6%)となり、前回調査と同様、「よくなる派」が大きく上回りました。

●“苦労して授かった命を大切にしようと心から思った”

 今回の調査では「妊活中のエピソード」という形で、それぞれの体験談を聞いています。その中からいくつか、ご紹介いたします。

まずは妊活中の精神状態についてのご意見。妊活中は、精神的にナーバスになったという人が多く見受けられました。

「基礎体温や生理に一喜一憂しネガティブになったり励まされてポジティブになったりと、とても不安定だった」(32歳 女性)

「妊活中になかなか結果が出ないときに、友人、知人、他人の芸能人でさえ妊娠報告を聞くと、自分の現状と比べ惨めで辛かった。 街中の妊婦さんを見かけるのも辛かった」(35歳 女性)

 ナーバスになりがちだからこそ、身近にいるパートナーの支えはとても重要。ある方は、自身の妊活生活をこう振り返ります。

「妊活中は夫に沢山励ましてもらい、また辛いときには私の気持ちが落ち着くまで側に居てくれたり…と、夫が一緒に居てくれることに改めて有難いなと思った。 今振り返ってみると、妊活をしていた期間は夫婦の絆を強くする大切な期間だった」(29歳 女性)

 今回の調査では、ほとんどの夫が妊活に協力的という結果が出ています。妊活してみようかな…と考えている人は、不安がらずに、まず夫に相談してみることから始めるのがいいかもしれません。
 

 また、妊活と仕事の両立についても様々なご意見をいただきました。妊活に理解を示してくれる職場で働く人たちからは、このような声が届いています。

「妊活中は急に仕事を休むこともありましたが、職場の上司の理解があり、とても助かった」(35歳 女性)

「妊活していると仕事を休まないといけないときがあるが、今の職場は快く休ませてくれたおかげで妊活と仕事が両立できた」(32歳 女性)

 一方で、なかなか職場の理解が得られず困った経験をしたという声も。妊活をしているときは、ただでさえ精神的にナーバスになりやすくなります。より前向きに妊活を行うには夫や周囲の理解が必要となってくると言えそうです。
 

 ある妊活経験者はこう回答してくれています。

「同じ状況の職場の友人と、毎日妊活の情報を公開して励ましあった。奇跡的に1か月違いで妊娠していて、今度はマタニティの間も、産後も、戦友のような間柄になっている」(32歳 女性)

 身近な人と励ましあって辛い時期を乗り越えることで、より深い関係を築けるようになる方も少なくないようです。また、ネット・SNS社会ならではの「つながり」について指摘する方もいました。

「妊活についてのブログを書いたり見たりしていた。情報を得られることで治療に積極的になれたり、お互いに励ましあうことで、辛くなったときもがんばれた」(30歳 女性)

「妊活サイトで、同じ経験をしている方と掲示板で交流をもてたことが本当に日々の支えになっていた。 顔の見えない相手だからこそ、プライベートな悩みも細かく言い合えていたと思う」(36歳 女性)

 妊活は、精神的な辛さ、周囲の理解不足、仕事との両立など、まだまだ多くの問題を抱えています。その問題の解決には、社会全体が妊活に対する理解を深め、妊娠したいと思っている女性を応援すること、そして、何よりパートナーである夫の力が不可欠なのではないでしょうか。

引用元:
妊活7794人アンケート 妊活する上での情報源は”ネット派”が81.6%(dot.)