静岡厚生病院(静岡市葵区)はこのほど、不妊原因につながる卵管の詰まりなどを改善して自然妊娠を目指す治療「卵管鏡下卵管形成術(FT)」の専門外来を産婦人科に開設した。同病院によるとFTの専門外来を設ける医療施設は全国的にも珍しいという。
 FTは、卵管鏡やバルーンの入ったカテーテルを、腟から子宮を経て狭くなっている卵管に入れて固定し、バルーンを膨らませたり縮めたりしながら卵管の開通を試みる治療法。不妊原因の25〜30%が卵管因子とされ、卵管の詰まりを理由に保険適用外の体外受精を選択する夫婦も多い。FTによって卵管因子が改善すれば、自然妊娠も望めるという。
 同病院では2015年4月からFTによる治療を始め、ことし5月に専門外来を構えた。16年5月までに10人が治療を受け、3人が妊娠したという。同病院産婦人科の西原富次郎医師と同科の中山毅診療部長、俵IVFクリニック(駿河区)の俵史子院長を中心に治療に取り組む。
 FTは健康保険が適用できるほか、治療には全身麻酔を用い、FTのみの場合の所要時間は1〜2時間という。中山部長は「治療後の痛みはなく、重大な合併症もほぼないため、体への負担が少ない。体外受精を選択する前にFTによる治療も試みてほしい」と話している。

引用元:
不妊「FT」外来開設 卵管開通、自然妊娠目指す 静岡厚生病院[アットエス]