出産の痛みを麻酔で和らげる無痛 分娩ぶんべん について、2016年度に行われた約2万1000件の6割近くが診療所での出産だったことが日本産婦人科医会の初の実態調査でわかった。無痛分娩を巡り重大事故が相次ぎ発覚する中、小規模な医療機関でより多く行われている実態が判明し、安全な体制整備の必要性が浮き彫りになった。調査結果は近く発足する厚生労働省研究班で分析し、安全対策に生かす。





 調査は今年6月、出産を扱う約2400医療機関を対象に実施し、約4割の回答を得た。14〜16年度の実施件数などをまとめた中間報告によると、16年度は約40万6000件の出産のうち無痛分娩は5.2%で、08年の推計値に比べ倍増。14年度3.9%、15年度4.5%と年々増えていた。

 無痛分娩約2万1000件を病院、診療所別にみると、16年度は診療所で約1万2200件(診療所での出産数の5.6%)、病院で約8800件(病院での出産数の4.7%)と、病院より診療所のほうが多かった。無痛分娩が普及する欧米では、産科医、麻酔科医、新生児科医がそろった大病院で行うのが主流だが、国内では小規模な医療機関に広がっていた。

 無痛分娩を巡っては、最近、大阪、兵庫、京都の4医療機関で計6件の産科麻酔を巡る事故が発覚したが、6件のうち5件が診療所での事例だった。

  <無痛分娩>  局所麻酔薬で下半身の痛みを和らげ、出産の疲労やストレスを軽減する方法。近年、産後の回復が早いなどの利点から高齢妊婦の多い都市部を中心に人気が高まっている。背中に入れた細い管から麻酔薬を注入する硬膜外麻酔という手法が多い。


引用元:
無痛分娩 6割が診療所、16年度調査…欧米は大病院主流(読売新聞)