生物の遺伝子を効率よく改変できる新技術「ゲノム編集」をヒトの受精卵や精子、卵子に使う生殖医療について、日本学術会議の検討委員会(五十嵐隆委員長)は10日、国が指針で規制するよう求める提言案をまとめた。さらに、ゲノム編集に加え、実験的な生殖医療も含め法規制の必要性も指摘した。同会議として来月中に提言を公表する方針。


 ヒト受精卵などへのゲノム編集を巡っては、内閣府の生命倫理専門調査会が昨年4月の中間報告で、子宮に戻さない基礎研究に限り容認する一方、国による指針の作成は見送る方針を示していた。

 提言案では、基礎研究についても目的別に分け、ヒトが生まれる仕組みの解明を目指す研究は認める一方、生殖医療への応用を目指す研究は当分控えるよう求めた。

 また、体外受精の際にミトコンドリアを操作するといった実験的な生殖医療も含め、学会の自主規制では限界があるとして、国が責任を持って実効性のある規制を設けるよう求めている。遺伝性の病気を予防する臨床応用についても、「生まれる子の健康に重大な懸念がある。現在の日本で行うことは適切とは言えない。当面禁止が妥当」とした。

 検討委員会は、生殖医療や生命倫理、法律などの専門家14人で構成されている。


引用元:
国の指針で規制求める 日本学術会議が提言案(毎日新聞)