検査者の熟練度に依存せずに微小な腫瘍を検出可能にする技術 株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:東原 敏昭)は、簡便・無痛・高精度な乳がん検診を実現する『超音波計測技術』を開発しました。(※「製品価格、製品仕様、サービスの内容、発売日、お問い合わせ先、URL等」)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更され検索日と情報が異なる可能性もあります。最新のお問い合わせ先は「お問い合わせ一覧」をご覧下さい)。
超音波計測技術 乳がんは世界の女性の「がん罹患数第1位※1」であり、治療には早期発見が重要となります。現在、乳がん検診はマンモグラフィや超音波により行われていますが、マンモグラフィ検診では微量の放射線被ばくや痛みを伴うほか、若年層やアジア人に多い高濃度乳腺の場合は腫瘍の検出感度が低いことが課題です。一方、超音波検診では検査者の熟練度により腫瘍の検出感度が異なることが課題となっています。
☆今回、日立は「簡便・無痛・高精度な乳がん検診」の実現をめざし、放射線被ばくや痛みを伴わない超音波を用いて検査者の熟練度に依存せずに微小な腫瘍を検出可能な「超音波計測技術」を開発しました。
【特徴】
@360度の方向から超音波を照射・取得し、腫瘍表面の粗さなどの特性を計測する技術
・従来の超音波検診では1方向から照射した超音波に対して後方(照射源の方向)に反射した音波のみを取得していましたが、今回360度の方向から超音波を照射することが可能となり、前方や側方を含む360度の方向に反射する音波を取得・解析する技術を開発しました。
・音波の反射方向とその強度などを分析することにより「腫瘍の硬さ、粘性、表面の粗さ」を計測可能なだけでなく、超音波では難しいとされる乳腺内の微小石灰化の可視化も可能とします。これらの技術により悪性腫瘍の表面が粗い傾向にあるなど「腫瘍」のさまざまな特性の把握により総合的な診断をすることができます。その他、日立が開発した超音波画像の解析時間を7倍「高速化する技術※1」を組み合わせることで検診の精度向上と計測時間の短縮に貢献します。
※1.超音波が体内で屈折する影響を考慮し腫瘍の硬さに関する特性を高速かつ高精度に提示する技術。(2017年5月に日本生体医工学会大会にて発表)。
A超音波デバイスと乳房を容器で分離しても正常に検査可能な計測技術
従来の超音波検診では超音波デバイス(プローブ)にエコーゼリーを塗り乳房に押し当てていましたが、本技術では超音波を効率的に乳房に伝搬させるためにリング状の超音波デバイスと乳房の間を水で満たします。ですが複数の受診者が同じデバイスで検診を受けた場合、付着したウイルスなどから受診者間での病気感染のリスクが考えられました。
そこで超音波デバイスと乳房を容器で分離する構造にするとともに容器が超音波の伝搬に与えてしまう影響を計測結果に反映することができる超音波計測技術を開発しました。また「消毒・殺菌」の時間を短縮するとともに安全で衛生的な検診が可能になります。
【今後の展開】 今回「イヌの臨床腫瘍」を用いて5mmの微小な腫瘍の検出に成功しました。2017年4月からは、北海道大学病院と共同でヒトの臨床腫瘍を用いた研究を開始して本技術を用いた乳がん検診装置の実用化をめざします。

引用元:
日立製作所が高精度な乳がん検診を実現する『超音波計測技術』を開発(日刊アメーバニュース)