南相馬市は市内の小児・産科医療の充実に向け、医師の確保に全力を挙げている。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故後の医師不足を補おうと助成制度を設けて小児科・産科医を募ったが6月末の締め切りまで応募者はゼロ。現在は市立総合病院以外で民間の小児科の専門医はおらず、産科医は1人のみ。市は3日、募集期間を9月末まで延長するとともに関係機関への働き掛けの強化に乗り出した。
 市によると、震災と原発事故前まで市内には市立総合病院と民間の病院・診療所を合わせて小児科を専門とする医師が5人程度いた。産科医は市立総合病院と民間の病院・診療所を合わせると少なくとも5人はいたという。
 原発事故に伴う避難などで民間の小児科医は不在となり、現在は市立総合病院の1人のみ。人員不足から新生児の入院は相馬市の公立相馬病院に受け入れを頼んでいる状況だ。産科医は市立総合病院に常勤医1人と福島医大から派遣された1人はいるが、民間は同様に1人だけとなった。
 市は医師不足解消に向けて市内で診療所を新たに開設する医師に施設整備費などを上限5000万円で助成する独自の医師公募制度を昨年創設した。だが、昨年の整形外科1件を除き、これまでのところ小児科・産科で制度を活用する医師は現れていない。
 市健康福祉部長として制度導入に携わり、今年春の定年退職後は再任用で市健康づくり課で地域医療対策を担う中里祐一主任主査兼係長(60)を中心に直接、医師に制度利用を呼び掛けたり、福島医大にさらなる医師の派遣を要請したりする日々が続く。中里係長は避難で子どもが減った上、助成金を支給するとはいえ、初期投資への負担を敬遠する医師が多いのではないか−と現状をみている。
 市は今後、助成要件の緩和も視野に入れて開業しやすい環境づくりに力を入れる考えだ。中里係長は「10年、20年先を見据えた医療体制づくりは行政の責務」と語り、受話器に向かった。

引用元:
小児・産科医、来て 南相馬市が募集延長、働き掛け強化(福島民報)