アメリカのデータでは「最も赤ん坊が生まれにくい時間は午前3時9分」「最も赤ん坊が生まれやすい時間は午前8時ちょうど」ということが分かっており、時間帯で見た時、1分当たりに生まれる子どもの人数の差には3.5倍もの開きがあります。なぜこのようなパターンが生まれるのか?ということで、データアナリストのZan Armstrong氏がアメリカ疾病予防管理センターによって発表されたデータを分析・可視化し、その原因を探りました。


Armstrong氏によると、赤ん坊が生まれる人数の波は、主に分娩方法の違いによって生まれているとのこと。アメリカでは全体のうち32%が帝王切開で生まれ、誘導分娩で生まれる赤ん坊は18%、自然分娩は50%だと言われています。それぞれの分娩方法が取られやすい時間帯が存在する結果として、夜に生まれる子どもが少なく、早朝あるいは正午のあたりに生まれる子どもの数が増えるわけです。例えば自然分娩で生まれた子どもを見てみると、夜間よりも午前6時45分から夕方6時までに生まれた子どものほうが20〜30%多くなっていますが、そこまで1日を通してそこまで大きな差は無いように見えます。



誘導分娩の場合、午前と午後の2つのパートにわかれており、ピークは午後1時から6時となっています。このピークと最も赤ん坊が生まれることの少ない午前6〜7時との差は大きく、2.2倍もあります。分娩の誘導が行われてから実際に赤ん坊が生まれるまでの時間は長く、個人差も大きいため、医師らはスタッフの多い日中に出産が行われるよう見計らって誘導を行うそうです。



一方で、帝王切開は他の2つとは全く異なる波を描いています。まず、早朝に大きな波形があり、次に大きな波形が正午あたりに見られます。そして、午後の早い時間から夜中にかけては一定割合で赤ん坊が生まれ、早朝のピーク時に生まれる赤ん坊の数は夜中の10倍近くに上っています。帝王切開の場合、緊急で行われる場合もありますが、さまざまな理由から予め予定されているケースも多々あるとのこと。そのため、ほかの外科手術と同様に病院のスケジュールの影響を強く受けるわけです。



それぞれの分娩方法にそれぞれのパターンがあるわけですが、3つを統合したときに、全体としてどのような傾向があるかが見えてきます。ということで、全体としての赤ん坊が生まれるタイミングの傾向は以下のグラフの通り。



1週間単位で見たときの出産のピークは月曜日の8〜9時で、これは帝王切開が多く行われるため。この時間帯に帝王切開で生まれる赤ん坊は平均3.7倍も多く、一方でこの時間帯に他の方法で赤ん坊が生まれる割合は平均かそれ以下。総合して見ると、月曜日の8〜9時は平均の1.9倍も生まれる赤ん坊が生まれることになるとのことです。一見すると「なぜこんな傾向が……?」と不思議な力が働いているかのように見える事柄でも、分析・可視化すると実にわかりやすい形で「事実」が見えてくることがわかります。


引用元:
なぜ赤ん坊は朝8時に生まれることが多いのか?(GIGAZINE)