日本癌治療学会は19日、若いころにがんになっても治療後に子を持つ可能性を残す具体的な方法を示した初の指針をまとめた。患者に不妊となるリスクを正しく伝えるとともに、卵子の凍結保存など生殖能力を残す方法を治療の選択肢として普及させる。7月下旬から書店などで販売し、医師に活用を求めていく。

 国内では40歳未満でがんと診断される人は年間2万人に上る。抗がん剤や手術などの治療で、将来、子を持てなくなる恐れがあるが、患者に情報が十分に伝わっていないという問題がある。

 指針策定に関わった鈴木直・聖マリアンナ医大教授(産婦人科)は「医師に重要性を知ってもらうきっかけにしたい」としている。

 指針では、がん治療医は、患者に治療で不妊になる可能性があることを伝え、必要なら早期に生殖医療専門医を紹介して連携すべきだとした。一方で、がん治療を最優先にすべきで、安易に標準的な治療を変更したり、やめたりするのは避けるよう求めている。

 婦人科がん、乳がん、泌尿器がん、小児がんなど8領域について、卵子や精子の凍結保存法や、生殖能力を温存できる手術法などを詳細に示した。例えば乳がんでは、手術でがんを摘出後、速やかに抗がん剤を使用すべきだとしながらも、通常より最大12週間遅らせて、卵子などを凍結保存する方法があることを紹介している。

 個別のがんについて、治療後いつから妊娠していいか基準も示した


引用元:
「子産める」がん治療指針 日本癌治療学会、卵子凍結も選択肢(日本経済新聞)