貧困や薬物の蔓延(まんえん)を背景に置き去りにされる子供が後を絶たない南アフリカで、養育を放棄された子供を引き取る「赤ちゃんポスト」の活動が着実に根付いている。

慈善団体「ドア・オブ・ホープ」は18年前から活動を続け、約180人の小さな命を救ってきた。

赤ちゃんポストは、ヨハネスブルクでも治安が悪いベリア地区にある。施設を囲む塀に穴を開け鉄製の箱を設置。誰かが赤ちゃんを置くとアラームで施設職員に知らせる仕組みだ。

ポストに置かれた赤ちゃんは、病気にかかっている場合は病院に連れて行き、健康に問題がなければ、同団体が所有する3か所の保育施設で育てられる。その多くは、養子として里親に引き取られる。

団体のナディーン・グラバム事業部長は「捨てられた子を見るのは確かに悲しい。でも、ここに預けてくれたことで、この子たちは命を救われたとも思っている」と話す。活動を始めた1999年頃、南アでは母親が赤ちゃんをゴミ箱やトイレに置き去りにする事件が相次ぎ、社会問題化していた。

施設に運び込まれた時には栄養不足や病気が深刻な子もいる。ポストに置かれた後に死んでしまった赤ちゃんも50人前後いるという。施設には亡くなった赤ちゃんを慰霊する場所もある。

施設の運営費はほとんど寄付で賄っている。施設内は清潔に保たれ、赤ちゃん一人一人のベッドも完備されている。しかし、当初は「捨て子を助長するのでは」という批判も多かった。今でも批判はあるが、必要性について多くの人が理解するようになったという。

最近、うれしいこともあった。18年前に赤ちゃんポストに置かれ、米国の里親に引き取られた女性が、同施設を訪問し、約1か月ボランティアとして働いてくれたことだ。グラバム部長は「彼女は本当にすばらしい女性に成長した。我々の誇りです」と喜ぶ。

グラバム部長は、来年4月に熊本市で開かれる赤ちゃんポストに関するシンポジウム「アジアヘルスプロモーション会議」に招待されている。赤ちゃんポストに関する国際シンポの開催は世界で初めてといい、日本や米国、中国、インドなど十数か国から関係者が参加し、活動について報告し合うという。

シンポは、日本で唯一の赤ちゃんポスト「こうのとりのゆりかご」を運営する熊本市の慈恵病院が中心となって開く。同病院の取り組みは5月10日で10年となり、今年3月末までに130人の赤ちゃんを受け入れてきた。同病院の蓮田健副院長は「我々も悩み苦しみながら進めてきた。各国の関係者と知恵を交換したい」と話している


引用元:
南アで根付く「赤ちゃんポスト」、180人救う その多くは養子として里親に(東洋経済オンライン)