山梨市上神内川で26日、市立産婦人科医院の開院式が行われた。市内で唯一出産ができる診療所で、ベッド数は19床。市が建物を建て、医療法人が運営する「公設民営」の産婦人科診療所で、山梨市によると全国初の形という。(竹田竜)



 延べ床面積は約1670平方メートルで2階建て。出産後の女性が宿泊して授乳やもく浴の方法などを教わることができる宿泊型産後ケアや、出産前後の女性宅を助産師が訪ねて相談に応じる訪問型の産前産後サポートも行う。

 山梨市などによると、山梨市駅南口にあり、市内で出産ができる唯一の診療所だった「中村産婦人科医院」が、南口広場の整備のために移転することになった。中村雄二院長(56)は「自分の年齢を考えると、新しい医院を建設して開院するのは難しい」と、閉鎖も検討した。

 しかし、山梨市は、年間約300人の赤ちゃんが生まれる同医院の閉鎖は影響が大きいと判断。同医院から約100メートル離れた場所に市が建物を建て、同医院を運営する医療法人「東雲しののめ会」(山梨市)を指定管理者として市立産婦人科医院を運営してもらうことにした。

 26日の開院式には、山梨市の望月清賢市長らが出席し、テープカットなどが行われた。診療スペースは中村産婦人科医院時代の2倍に増え、ベッド数も19床に増えた。

 開院は来月1日で、外来患者の診察は2日から。電話番号は、中村産婦人科医院と同じ(0553・20・1230)。



出産可能施設減少15か所…峡北、峡南、県東部「ゼロ」




 宿直が多いなど勤務が過酷なため、全国的に産科医は減っている。産科医を確保できないために出産を扱う医療施設も減っていて、出産できる県内の医療施設は2004年には24か所あったが、15か所にまで減少した。

 地域的な偏りも深刻で、15か所のうち、甲府市に9か所、中央市と昭和町に各1か所と、県中央部に集中している。ほかの4か所があるのは富士吉田市と富士河口湖町、山梨市、笛吹市。峡北や峡南、県東部には1か所もなく、地域外の医療施設まで遠出して出産する必要があるのが現状だ。

 出産できる医療施設がない峡南地域などでは、甲府市などにある病院で出産することにして、出産前の妊婦健診だけは地元の診療所で受けられるようにする「産科セミ・オープンシステム」が導入されている。

 出産できる医療施設の減少を食い止めようと、県は、産科医の増加に取り組んでいる。08年度には、研修中の産科医に「奨励金」を支給する制度を開始。15年度からは年120万円を貸し出し、研修後に県内の特定の公立病院などに勤めれば返済を免除する制度に変更した。


引用元:
全国初 山梨に「公設民営」産科(読売新聞)