目次


1. 妊娠中は血糖値が上がりやすい


2. 実は妊婦は糖尿病じゃなくても要注意


3. 妊婦の血糖管理


4. 妊娠中には飲んではいけない薬がある


5. 無事に出産した後も血糖値には要注意



妊娠は身体の大きな変化を伴います。つわりで吐き気がしたり足がむくんだりする変化は実感できますが、実は目に見えないところで血糖

値が上がりやすくなるという変化も起こっています。妊娠と血糖値の関係を説明します。



1. 妊娠中は血糖値が上がりやすい





妊娠中のお母さんは、ホルモン

バランスなどの身体の変化の影響を受けて、血糖値が乱れやすくなります。妊娠前から糖尿病だった人はもちろん、元は血糖値が正常だった人でも妊娠中は血糖値が上がりやすくなります。そのため、妊娠中はどんな人でも血糖値とHbA1cを見ていくことが重要になります。HbA1cはヘモグロビン

エーワンシーと読んで、血糖値の1-2ヶ月の平均値を反映します。



2. 実は妊婦は糖尿病じゃなくても要注意

妊娠糖尿病

(GDM:gestational diabetes mellitus)という言葉があります。これは文字面を見ると糖尿病という字が入っていますが、厳密に言うと糖尿病ではありません。正確には糖尿病になりかかりの状態です。

診断には75gのブドウ糖

を飲んで血糖値を調べる75gOGTTという検査が基準になるのですが、通常の糖尿病の診断基準よりもかなり厳しくなっています。

違いを表にまとめます。



表 通常の糖尿病と妊娠糖尿病の診断基準


妊娠糖尿病

通常の糖尿病


空腹時血糖値

92mg/dL以上

126mg/dL以上


検査1時間後の血糖値

180mg/dL以上

-


検査2時間後の血糖値

153mg/dL以上

200mg/dL以上




どうして妊婦に対しては基準が厳しくなるのでしょうか?

実は妊娠中の糖尿病はお腹の子供に影響する恐れがあるのです。妊娠初期に血糖値が高かったときは、血糖値が正常だった妊娠に比べて、流産

したり、子供に形態異常が起こる場合が多くなることがわかっています。また、赤ちゃんが成長しすぎたり、産まれてすぐの子供が低血糖

を起こすことも多くなります。多くなると言っても全体の中ではごく一部ですが、違いがあることは確かです。このため妊娠糖尿病には細心の注意が必要です。



3. 妊婦の血糖管理





妊娠初期にHbA1cが7.0%あるいは空腹時血糖値が120mg/dLを超えていると、流産や赤ちゃんの形態異常が増えると言われています。そのため、厳格な血糖管理が必要となります。

妊娠中の血糖管理は特別のやり方があり、以下のようにします。
•血糖を下げる飲み薬を中止し、赤ちゃんに対して安全性の高いインスリン

の注射に切り替える
•血糖測定を行い自分の血糖の程度をしっかりと把握する
•赤ちゃんに栄養を与えるため、食事量の目安は通常の食事療法よりも1日に200kcal程度多くする

このように、インスリンで血糖値が下がり過ぎていないかを測定して確かめながら、適切な範囲にコントロールします。

血糖管理は個人個人の状態によって異なります。どういった作戦で血糖をコントロールしていくかは、かかりつけのお医者さんとよく相談するようにしてください。



4. 妊娠中には飲んではいけない薬がある

妊娠中に飲むと赤ちゃんに悪影響をおよぼす薬があります。代表例としては以下が挙げられます。
•アンギオテンシン変換酵素

阻害薬(ACE阻害薬) カプトプリル(カプトプリル®)、エナラプリル(レニベース®)、ペリンドプリル(コバシル®)など

•アンギオテンシンU受容体拮抗薬(ARB) テルミサルタン(ミカルディス®)、オルメサルタン(オルメテック®)、アジルサルタン(アジルバ®)など

•スタチン系コレステロール

降下薬 ロスバスタチン(クレストール®)、ピタバスタチン(リバロ®)、アトルバスタチン(リピトール®)など

•フィブラート系コレステロール降下薬 ベザフィブラート(ベザトールSR®)など


妊娠中に悪い薬は妊娠の最初から最後まで飲まないようにする必要があります。つまり、妊娠を考えている人は妊娠する前からこれらの薬を避ける必要があります。

妊娠している可能性があるときは、安易に市販薬を飲まないことはもちろん、病院にかかるときには必ず妊娠について伝えてください。また、ほかの病気の治療中に妊娠を考えるときには、あらかじめ薬を変えるべき場合があるので、妊娠する前にかかりつけのお医者さんに相談してください。



5. 無事に出産した後も血糖値には要注意

妊娠糖尿病は、厳密には糖尿病ではありませんので、もし妊娠糖尿病と診断されても治療が必要ない程度で無事に出産が済むことも多いです。しかし、無事に出産してほっと一息ついてからも、お母さんの体にはもう少し気を付けたいことが残っています。

妊娠糖尿病は厳密な糖尿病ではありませんが、糖尿病になりかけの状態です。つまり、血糖をコントロールする体内のシステムが乱れている状態になっています。出産によってホルモンなどのバランスは元に戻るので、多くの場合は改善するのですが、出産後もシステムのほころびが残ったままになることがあります。

出産よりあとに糖尿病になる確率は、妊娠中の血糖値になんら問題のなかった人と比べると、妊娠糖尿病になった人は7倍以上になります。そのため、妊娠糖尿病と診断された人は、少なくとも産後6-12週間は血糖値を検査していくことが望ましいと考えられています。


引用元:
妊娠糖尿病(GDM)とは?妊婦の血糖値が上がりやすい原因と注意点(MEDLEY(メドレー))