再生医療で問題となる不要なiPS細胞(人工多能性幹細胞)を効率良く除去する化合物を開発したと、京都大iPS細胞研究所の斉藤博英教授(生命工学)らのグループが19日、米科学誌セル・ケミカル・バイオロジー(電子版)に発表する。




 iPS細胞から神経や心筋などの目的の細胞に変化させた場合、一部のiPS細胞は変化しきれずにそのまま残る。この細胞を移植すると腫瘍になる可能性があるため、再生医療の課題の一つとされている。

 グループが開発した化合物は、iPS細胞の表面にあるたんぱく質に結びついて集まり、iPS細胞にダメージを与える性質がある。

 実験で、iPS細胞と心筋細胞を混ぜ、化合物に1時間さらすと、10%を占めていたiPS細胞が0・4%に減った。心筋細胞には影響がなかった。

 また、iPS細胞と心筋細胞をマウスの精巣に移植すると、8個の精巣のうち7個に腫瘍ができたが、化合物を加えてから移植すると腫瘍が全くできなかった。斉藤教授は「化合物は簡単に作製でき、コストも安い」と話している。


引用元:
不要iPS除去、新化合物を開発…京大グループ(読売新聞)