田原市は今年度から、市内に住む初産妊婦の自宅に保健師や助産師、看護師らの看護職員が全戸訪問する母子保健支援事業を始めた。東三河地域の自治体では初めての取り組みという。 
 育児環境を充実させ、子育て世代を応援しようと、市が今年度予算に新たに組み込んだ。
 看護職員が訪問員となり、希望に応じて事前予約を踏まえ、個別に訪問。妊娠期から出産後に関わる不安や悩み相談、子育てのアドバイスなど、必要なサポートを通じて、安心して子どもを迎えてもらう。
 訪問する看護職員は1人。赤ちゃんの人形を使い「赤ちゃんへの声掛けが胎内にいる時から大切」などと語りかけながら、抱っこの仕方や、オムツの交換方法などを細かく丁寧に説明。妊娠中は体の抵抗力が弱まる場合があるため、母子手帳で健康状態を確認しながら、生活や過ごし方、食事内容などに関する必要なアドバイスをしたり、「産後、生まれてからのことが不安」との心配に対しては「一人で抱え込まず」、周囲に協力や助けを求めるよう伝えたりする。 
 出産により一時的に精神的不安定になったり、性格的に追い込まれるなどで産後うつを防ぐため、泣き止まない時の対応や、あやし方を映像で予習するDVDで赤ちゃんがいる生活をイメージしてもらったり、産後から乳幼児期まで利用できるサービスも紹介。訪問員は優しく対話をしながら、親身になって初産妊婦からの質問や気にかかる点について答えていく。
 市外から引っ越してきたという女性(28)は「知り合いがいなくて不安しかなかったけど、実践的にいろいろ教えてくれるので助かります。インターネットとか雑誌や本は、調べるほどたくさんの情報が出てくるので、どれを選べば良いか分からなくなるけど、こうして対面で質問に答えてくれるので納得もできるし、安心感もある」と話した。
 一緒に抱っこの仕方などを教わった夫(29)は「父親になる実感が沸くし、自覚も生まれる」と夫婦は個別訪問を心強く感じている。
 市健康課は「妊娠から育児は始まる。子育てケアだけでなく、家庭状況を含めて全体的に寄り添う気持ちで一緒に悩みや疑問を解決していきたい」としている。

引用元:
初産妊婦宅の看護職員全戸訪問を田原市開始 (東愛知新聞社)