端午(たんご)の節句が近づくと、男の子がいる家庭では、勇ましい兜や立派な鎧の五月人形を飾りつける方も多いのではないでしょうか。今回は、五月人形が持つ意味について紹介します。

端午の節句に五月人形を飾る理由は?

もともとは女性が行うお祭りだった?

5月は田植えもはじまる季節。端午の節句はもともと"子どもの日"ではなく、豊作の願いを込めた、女性が行う「5月忌み」の神事だったされています。

やがて武家社会になると、「菖蒲」を武を重んじる「尚武」にかけ、厄除けとなる鯉のぼりや五月人形を飾りつけるようになり、一族の繁栄を担う男の子の成長を祝うお祭りとなっていきました。

どうして五月人形を飾るの?

では、なぜ五月人形を飾るのでしょうか。争いが絶えなかった武家社会では、身の安全を願って神社へのお参りが盛んに行われていました。その時に奉納したのが兜や鎧です。身を守る道具としてだけでなく、精神的にも大きな意味を持つものでした。

現代にもその心は引き継がれ、ひな祭りでも紹介した人形(ひとかた)としての役割をもち、病気やケガなど危険から命を保護するお守りとして今も大切に飾られます。


五月人形の鎧や兜は、命を守るお守りとして願いが込められてきました


弓矢や太刀にどんな意味がある?

五月人形の脇を守る弓矢と太刀。とても迫力がありますね。弓矢は向かって左側に、太刀は向かって右側に飾るのですが、これらの道具にもちゃんと意味があります。

両脇に飾る弓矢と太刀にも意味が

みなさんは、神社の神事である流鏑馬(やぶさめ)をご覧になったことがあるでしょうか。平安時代になると、矢を射ってその年を占う「大射」などの神事が行われるようになりました。弓矢は魔よけの意味を持ち、災いの種となる目には見えない魔物を退治する力があるとされます。お正月に破魔矢を送る風習も、この強い力で災いから守ってもらう意味があります。

次は太刀。争いを連想させちょっと怖い気もする太刀ですが、刀は戦いで実際に使用するのに対し、五月人形の太刀は儀式的な意味を持ちます。魔物は光るものを嫌うと考えられているので、弓を同様に魔よけの意味を持ちます。


いかがでしょうか。古くから全力で子どもを守ろうとする、切実な親の思いが伝わって来るようですね。健やかな成長を願い、家族で楽しい時間を過ごせば魔物も退散することでしょう。


引用元:
"子どもの日"は"女性の日"だった? 五月人形を飾る理由(マイナビニュース)