これまで高齢者などでは死亡例はあったものの、妊婦さんにおける死亡例は初めてということで、衝撃が広がっています。

今回は、医学博士の筆者が「オウム病」について解説していきたいと思います。

オウム病」の原因はクラミジアの一種
オウム病とはなかなか聞きなれない疾患だと思われます。しかし、その原因となるものは多くの方が一度は聞いたことがあるだろう“クラミジア”です。

クラミジアは、一般的に性行為感染症として聞くことが多いと思います。少々専門的な話となってしまいますが、クラミジアには全部で9種類存在し、そのうちの3種類が人間の感染症を引き起こします。その種類が


(1)クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)

(2)肺炎クラミジア(Chlamydia pneumoniae)

(3)クラミジア・シッタシ(Chlamydiapsittaci)

となり、(1)がいわゆる性行為感染症、(2)が肺炎を引き起こすもの、そして(3)がオウム病を引き起こすものとなっています。
オウムやインコをはじめとした鳥類等の「糞便」には注意
“オウム病”というくらいですから、基本的にオウムが持っているクラミジアだと思って頂けると分かりやすいのですが、実際にはインコなどを含む鳥類等でも持っている可能性があります。

その鳥類等の糞便中に含まれており、それが部屋のほこりとともに舞い上がって、吸入してしまうことで感染し、症状を呈することがあります。

このように、動物と人間が共通してかかってしまうようなものを“人獣共通感染症”と言います。
どのような病気なのか?
普段は、原因となる菌が生体内に入ってきたとしても、免疫系の作用によって抑えることが出来るケースが大半なのですが、免疫が弱くなってしまっている高齢者や妊婦さんなどは体内で増殖し、その結果感染症の症状を呈してしまいます。

潜伏期間は約1〜2週間で、突然の発熱を呈します。最初は、やはり熱が出たときの症状が出てきますので、風邪と似たような症状、頭痛や倦怠感、食欲不振や関節痛などが引き起こされます。

そして怖いのが“気道感染症”。気道感染症の中でも“肺炎”を起こすことがあります。

この肺炎によって呼吸困難や、血液からの心筋梗塞など死に直結してしまうことがあるので注意が必要です。
「オウム病」自己防衛における注意事項3つ
現在のところ、このオウム病に対するワクチンなどはありません。ですから“自己防衛”が必要になります。以下に自己防衛における注意事項を整理します。

(1)鳥類等との「過剰な接触」を避ける

体が弱っているときなどは、鳥類等との過剰な接触は避けるようにしましょう。

特に、鳥類等を飼っている方であれば、可愛さのあまりついつい口移しなどで餌をあげてしまうこともあるかもしれませんが、これは“感染原因の一つ”となってしまいますので避けたほうが良いでしょう。

また、こまめな掃除を行うのと同時に、必ず手洗いうがいをするように心がけてください。

(2)「小動物」への感染や接触も注意
鳥類ではありませんが、猫や犬、その他小動物も、“オウム病”にかかることがあります。その感染した小動物たちから人間に感染する可能性は、低いとは言えゼロではありませんので、多様なペットを飼育している場合、注意したほうが良いでしょう。

(3)「不摂生」を避ける

自分自身の免疫を強くしておく必要性がありますので、普段の生活の中で不摂生をしないように心がけましょう。

いかがでしたか?

各種SNS等の隆盛から、共通のペットを通じた、コミュニティ形成やオフラインでのリアルな交流も増えているだけに、知らず知らずのうちに感染してしまう可能性も否定できません。

自身の体調の変化には気を配り、安易な接触をしないよう注意しましょう。


引用元:
妊婦が死亡…世間を震撼させる「オウム病」はどんな病気?(エキサイトニュース)