埼玉県は4月から、少子化対策として早期の不妊治療に踏み切った夫婦への助成制度を拡充した。これまで妻が43歳未満の夫婦に初回分30万円を助成していたが、妻が35歳未満の夫婦には10万円上乗せする。2人目以降の子供がほしい世帯向けの助成も拡充した。手厚い不妊治療支援で子供を望む人を後押しすることで、県内の少子化対策につなげる。

 不妊に関する総合的な支援プログラムとして、県が今年度から始めた「ウェルカムベイビープロジェクト」の一環。県は今年度、結婚後の早い時期に夫婦で気軽に不妊検査を受けられるよう、検査費を2万円まで補助する制度も始めた。妻が35歳未満の夫婦の場合、最大42万円の助成を受けられる計算だ。一般的に不妊検査や治療に必要とされる額の大半を助成金で賄えるという。

 2人目以降の子供を望む夫婦への支援も拡充する。国の現在の助成制度では、妻が40歳未満の夫婦を対象に1回15万円の治療費を6回まで補助している。これに加えて、県は1回の出産ごとに最大6回まで同額の治療費を支給する。1人目の出産で国の制度を6回使っても、県の支援で2人目も6回まで助成を受けられることになる。

 厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所の調査では、全国で「子供がほしいができない」と回答した夫婦の割合は2005年に16.3%。この割合は10年に19.3%、15年に23.5%となり、増加傾向が続く。晩婚化が背景にあると指摘されており、埼玉でも15年の平均初婚年齢は男性で31.5歳、女性で29.6歳と、それぞれ10年前より1歳以上遅くなった。

 埼玉県の上田清司知事は11日の記者会見で、晩婚化と不妊の問題に触れ「結婚した時点で念のために夫婦ともに検査しておくことが望ましい」との見方を示した。今後は不妊に関して正しい知識を普及するため、中学、高校、大学生向けの出前講座の開催回数も増やす方針だ。


引用元:
不妊治療の助成、妻35歳未満なら上乗せ 埼玉県 (日本経済新聞)